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フィリピン・パラワン諸島のブノグ村に住むイアン・グレース(写真右端)は12歳の小学生です。彼女は毎晩2時間、家で本を読んだり宿題をしたりして過ごします。その間、お母さんは台所に立ったり、翌日の仕事の準備をします。家族の手元を照らすのは、明るさわずか10ワットの裸電球。フィリピンのエネルギー省がADBの協力を得て農村部を対象に実施した「再生可能エネルギー・エネルギー効率向上プロジェクト」として、各世帯に配布された太陽光バッテリーが電力供給源となっているのです。
村ではかつて、ろうそくや灯油のランプが使われていました。しかし、灯油の煙は子供の健康に好ましいとはいえず、すすで壁が黒く汚れてしまいます。また、週1ℓの灯油を消費してしまうため、収入の乏しい家庭にとっては大きな負担でした。しかし、電柱は一番近いものでも村から30キロ離れており、そこから電線を引いて村を電化するには多額の費用(=1500万ペソ、37万5000ドル相当)がかかります。ブノグ村では電力需要が大きくないこともあり、送電網による電化を断念、代替策として、繰り返し使えるソーラーバッテリーが数年前に設置されました。
ところが、メンテナンス不足などが原因で十分に活用されていなかったため、政府はADBに技術協力を求めるとともに、デンマーク協力基金の資金を使って、システム復旧と再利用を促進しました。その後、各家庭では、年額最大600ペソ(約15ドル)節約できるようになったということです。さらに、村に6ヶ所ある充電所では、近所の主婦が「エネルギー・マネジャー」として常駐し、村人が持ち込んだバッテリーを充電して手数料を得ることができます(写真)。収入は1週間あたり平均6個を充電して50ペソ(約1.25ドル)ですが、携帯電話も同時に一緒に充電すれば、一石二鳥です。
このように太陽光バッテリーシステムは順調に稼動するようになって2年が経過し、プロジェクトは成功例ととらえられるようになりました。多くの離島を抱えるフィリピンでは、2008年までに国土の100%電力化を目指していますが、このプロジェクトが大いに役立つことでしょう。
同プロジェクト詳細はこちら(英文)。
ADBのフィリピン事務所はこちら(英文)。 |