『アジア経済見通し』発表、 アジア途上国の成長は堅調

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【香港、2014年4月1日】アジア開発銀行(ADB)は本日、『アジア経済見通し2014年版』(Asian Development Outlook (ADO) 2014)1を発表した。この報告書の中で、アジア途上国(日・豪・NZを除くアジア・太平洋の45カ国・地域)の2014年の経済見通しについて、回復する先進国経済からの強い外需が中国経済の減速により一部相殺されるものの、全体として堅調に推移するとの見解を示した。その上で、2013年に6.1%だったこれらの国々の平均GDP成長率は、2014年に6.2%、2015年は6.4%に達するとの見通しを示している。

主要先進国経済の景気回復が軌道に乗るにつれ、アジア地域に対する需要も伸びると見込まれる。報告書では、日米欧全体の成長率が、2013年の1.0%から2014年1.9%に上昇し、2015年は2.2%まで伸びるとしている。

こうした需要の改善は、中国経済の減速によりある程度相殺されるだろう。中国経済は2013年、信用拡大の抑制、工業の過剰設備の調整、地方政府の債務問題の深刻化、人件費の上昇、通貨高に加え、政府が優先事項を経済成長の「率」から「質」へと転換した影響により、7.7%に減速した。こうした要因は継続するものと見られ、2014年の成長率は7.5%、2015年は7.4%にとどまると見られる。

 

これら見通しに対するリスクは後退しているが、3つの点で注視が必要となる。まず、信用拡大に対する中国の抑制政策が唐突で過度に成長を損う場合、更なる成長率の減速が貿易相手国の経済にまで波及する可能性がある。次に、先進国経済の景気回復を示すデータがまちまちであり、アジア地域に対する需要が想定されるほど強くない可能性も指摘される。3点目は、米の金融政策の転換に伴い、世界金融市場に更なるショックが引き起こされる可能性が排除できない点である。

各地域の見通し概況は次の通り(国別成長率予測は、報告書P.270、表A-1参照)。

  • 東アジア
    中国の減速に伴い、東アジア経済の成長トレンドは横ばいとなるだろう。2012年からやや上昇して2013年6.7%となった成長率は、本・来年とも同水準を保つとみられる。韓国や香港、台湾といったNIES経済は上向くが、中国経済の成長鈍化によって相殺されるだろう。モンゴルではインフレ対策としての引締め策が進むにつれ、2014年の成長率は緩やかになり、2015年は概ね安定するだろう。2013年に2.4%と過去4年で最低だった地域全体の物価上昇率2は、2014年は2.5%、2015年は2.9%と対応可能な水準にとどまるだろう。
  • 南アジア3
    南アジア経済は徐々に改善しているものの、2013年の伸び率は4.8%と、域内5地域の中で最も低かった。インド経済の減速が、地域全体の平均成長率を抑え込んだ。地域全体では2014年は5.3%、2015年には5.8%と成長率の改善が見込まれる。インドの成長率は、懸案の構造改革が実施されるとの前提で、それぞれ5.5%と6.0%に回復の見通し。
  • 東南アジア
    2013年の東南アジア全体のGDP成長率は、インドネシア、タイ、マレーシアが輸出市場の軟化に影響を受けたことから、5.0%まで減速した。これらの国の中で最大の経済規模を持つインドネシアでは、政府が燃料価格の大幅値上げに続いてインフレ抑制政策を実施したため、成長が落ち込んだ。地域全体の成長率は、輸出市場の改善に伴うプラス効果が各国の内需鈍化によって相殺されるため、2014年は前年と同水準とみられるが、今後インドネシアのインフレがおさまって成長が上向き、タイも政治的騒乱から落ち着きを取り戻し景気が回復すれば、2015年は5.4%に改善するだろう。
  • 中央アジア
    中央アジア最大の経済規模を持つカザフスタンが公共投資を拡大していることから、高い成長が維持されるだろう。中央アジアのGDPのほぼ半分を占める同国の成長が想定以上であることに加え、アゼルバイジャンやキルギスの経済が大きく伸びたため、地域全体の2013年の成長率は、前年比1%近くの伸びとなる6.5%にまで引き上げられた。この成長は2015年まで続く見通しだが、ウクライナ情勢に伴う緊張が下振れリスクとなっている。地域全体のインフレ率は、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの通貨切下げ、およびグルジアとトルクメニスタンにおける高成長を反映し、2014年、9.0%まで急上昇するとみられる。
  • 太平洋
    太平洋地域の経済は、パプアニューギニアの液化天然ガスプロジェクト建設完了により過去2年連続して減速し、2013年は4.8%に落ち込んだが、天然ガスの増産に牽引されて、成長率は回復していくだろう。

【抄訳・本リリースの英原文はこちら
【副チーフエコノミストのインタビュー動画(英語、2分13秒)はこちら
【関連動画(英語、2分26秒)はこちら


1 フルリポートは、http://wcm.adb.org/sites/default/files/pub/2014/ado-2014.pdf。
2 インドなど一部を除き、原則としてCPIベース。
3 ミャンマー、スリランカとモルジブ以外の南アジア国、サモア、トンガについては、会計年度を適用。


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