東アジア新興国の現地通貨建て債券市場は 連鎖リスクに備えを

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【ジャカルタ、2014年3月20日】アジア開発銀行(ADB)は、『アジア債券モニター』(Asia Bond Monitor)最新版を発表した。それによると、昨年12月末時点での東アジア新興国(EEA)9カ国・地域 の政府・企業が発行した現地通貨建て(LCY)債券市場は、足元の市場の不安定をうまく乗り切っているものの、市場にとってのリスクはじりじりと増しており、各国は備える必要がある。

ADBのイワン・アジス地域経済統合室長は、「本年の経済データはこれまでのところ順調で利回りも魅力的であるほか、一部通貨は回復しており、アジアが引き続き最適の投資先であると言えるが、危機の伝播が生じる可能性は高まっている」としている。

『モニター』は、一部の国で発生した危機がきっかけで新興市場全体に連鎖が広がった場合の対策として、アジア各国政府は構造改革の実施を通じて経済の耐性を高め、生産性向上を図る必要があるとしている。

 

経常赤字が大きく、外貨準備高が低い国は、危機の連鎖を最も受けやすい。また、外貨で多額に借入れている国は、通貨下落リスクに最も脆弱である。

2013年10-12月期、域外では不調に見舞われた新興国もあるなか、EEA全体の現地通貨建て債券市場は概ね順調に推移した。本年1月には、インドネシアやフィリピンなど多くの国で、国債利回りが上昇した。米国が今後数ヶ月に亘って米短期債の買入れを手控えていくことから、世界市場全体の不確実性は継続するとみられる。

2013年の10-12月期、これらアジア国の現地通貨建て国債の海外投資家保有率は、各国の経済見通しが手堅く、他市場に比べ利回りも魅力的であったことなどから、安定的であった。2013年末時点で外資保有率が最も高かったのは、国債発行残高の32.5%をオフショア投資家が保有するインドネシアで、ついでマレーシアだった(同29.4%)。

EEAの債券市場の全体規模も引き続き拡大した。2013年年末時点の残高は7.4兆ドルと、同年9月末比で2.4%、前年末比で11.7%の伸び率だった。今四半期中に最も大きく伸びたのはベトナムの14.8%で、年間を通じて最も拡大したのはインドネシアの20.1%だった。

各国は近年、外貨から自国通貨での発行にシフトしているが、中国の不動産会社など多くの企業は、米ドル建て起債に対する旺盛な需要を取り込んでいる。

2013年通年の米ドル、円、およびユーロ建て債券の発行総額は、過去最大の1415億ドルに達し、うち1284億ドル相当が、域内企業による起債だった。自国通貨が下落した場合、国内経済が弱ければ債務支払いコストが高まる。一方、現地通貨建て社債の発行総額は、通年で7656億ドルだった。

2013年、EEA市場におけるイスラム債(スクーク)の売り出しは、マレーシアとインドネシアに牽引される形で、917億ドルと好調だった。今回『モニター』はスクークをとりあげて分析し、スクークにはインフラ・プロジェクトの資金源として大きな潜在性がある一方、より多くの発行体がスクークを活用できるよう、各国は適切な規制枠組みを設置すべきとしている。

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1 中国、香港、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム。


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