貧困への理解を深め、長期的な取り組みに

【ジャカルタ、2014年8月20日】アジア開発銀行(ADB)は、本日発表した「キー・インディケーターズ2014年版」(Key Indicators for Asia and the Pacific 2014、域内各国の経済・社会データを網羅したADBの代表的刊行物の一つ)の中で、アジア・太平洋地域にとって貧困問題は今後数十年にわたり重要課題であり、食料の安定的確保や経済的脆弱性の問題解決のため、更なる努力が必要との見方を示した1。

アジア・太平洋地域では、急速な経済成長に伴い、人々の生活水準が劇的に向上した。現在の状況が続けば、一日1.25ドル未満で暮らす絶対貧困層の割合は、2030年までに全体の1.4%まで低下するとの試算もあるが、報告書は、生活費が一日1.25ドルという基準では絶対貧困の範囲は十分に捉えられないとしている。

ADBのシャンジン・ウェイ(Shang-Jin Wei、魏 尚进)チーフ・エコノミストは、域内の多くの国では1日1.25ドルでは最低限の暮らしを維持できないとした上で、各国当局者がこの重要課題に取り組むために効果的な政策を策定するには、貧困問題をしっかりと理解する必要があると述べている。

報告書では、貧困問題を考える上で新たに考慮されるべき要素として次の3点を挙げている。

  1. アジアにおける貧困層の実状をふまえた生活費
  2. 食料価格の上昇スピードが一般の物価上昇スピードより速いこと(に伴う食料確保の問題)
  3. 自然災害、気候変動、経済危機などのショックに対する脆弱性

その上で報告書は、従来貧困ラインとされていた一人当たりの一日の生活費について、アジアでは1.51ドルとなるとしている。更に、これらの食料価格や脆弱性の要素を総合的に勘案すると、2010年当時のアジアの貧困率は28.8%増えて49.5%に上昇し、同貧困人口も10億2000万人増えて17億5000万人に達するとしている。

報告書はまた、食料の安定供給性を高めるには、生産性や関連技術の向上、物流インフラの整備、非常用食料の備蓄が効果的としている。リスク対策面では、早期警戒システムの導入や収入源の多様化のほか、貧困層向けの保険商品開発、インフラの耐性強化、社会保障制度の充実などを、貧困削減の戦略的要素にあげている。

【抄訳・本リリースの英原文はこちら


1報告書のフルレポートは、http://www.adb.org/publications/key-indicators-asia-and-pacific-2014、要旨(ハイライト)はhttp://www.adb.org/sites/default/files/pub/2014/ki2014-highlights.pdfよりそれぞれダウンロード可。


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