アジア経済見通し発表、 アジア途上国の成長は本年6.6%に上昇

Video: ADB Chief Economist Changyong Rhee discusses the highlights of ADB's Asian Development Outlook 2013 and the forecast for developing Asia.

【香港、2013年4月9日】アジア開発銀行(ADB)は本日、『アジア経済見通し2013年版』(Asian Development Outlook (ADO) 2013)1を発表、アジア途上国(日・豪・NZを除くアジア・太平洋の45カ国・地域)について、米欧経済の停滞が続くなか、2012年に6.1%だったこれらの国々のGDP伸び率は、民間消費の上昇と堅調な域内貿易を背景に本・来年とも上向き、2013年に6.6%、2014年は6.7%に改善するとの見通しを示した。

ADOは、ADBが毎年春に発表する代表的報告書。ADBの李昌鏞(イ・チャンヨン)(Changyong Rhee)チーフエコノミストは、「中国経済が回復し、東南アジア経済も堅調なモメンタムを維持することから、2012年にやや軟調だったアジア途上国全体の成長速度は速まるだろう。国内支出、特に消費がその牽引力となっており、先進国市場への依存体質から転換することは歓迎すべき傾向だ」としている。

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一方、アジア経済に対する政治的リスク要因としてADOは、米国の債務残高上限規定議論とユーロ圏における緊縮疲れ、および一部のアジア諸国で国境を巡る緊張が続いている点が、短期見通しに対する主な潜在的脅威となりうると警告している。報告書はまた、アジア各国の財政ポジションが良い状態にあることは当然視されるべきではないとした上で、歳入の効率性向上、ガバナンスの改善、その他長期的構造問題の解決が必要と指摘している。

物価上昇率2について報告書は、経済活性化に伴いインフレ圧力が加わるため、2012年の3.7%から2013年は4.0%、2014年は4.2%になると予測、現時点では上昇圧力は対処可能だが、活発な資本流入が資産市場のバブルを引き起こすかどうか注視する必要があるとしている。

地域別の見通し概況は次の通り(国別成長率予測は、報告書P.289、表A-1参照)。

  • 東アジア
    東アジアは、本・来年の成長率がいずれも7.1%と、今次予測では最も高い伸びとなっている。世界第二位の経済国である中国の成長率は、内需の上向きと輸出の回復を受けて本年8.2%となると見られ、周辺国への波及効果が期待されるが、政府が環境配慮の強化や所得格差是正に動くと見込まれることから、2014年の成長率は8.0%とやや鈍化の見通し。
  • 南アジア3
    南アジア経済は、2年続いた弱含みから一転、2013年の成長率は5.7%、2014年は6.2%となる見通し。好転の牽引役であるインドの成長率は、本年が6.0%と来年が6.5%の予想だが、構造的・政治的問題が投資の阻害要因となっており、潜在成長力の完全実現には依然努力を要する。
  • 東南アジア
    タイ経済の復調、フィリピンの強固な公共支出に支えられ、東南アジアの2012年成長率の伸びは5地域中、最も大きいものとなった。地域全体の好調は、消費の堅調、投資の増加、域内貿易の拡大を背景に当面続くとみられ、成長率は2013年が5.4%、2014年は5.7%に拡大する見通し。2015年に迫ったASEAN共同体の発足が実現すれば、経済活動の活発な国を抱える同地域の域内貿易量は更に増え、輸出市場の多様化が進むだろうと報告書は述べている。
  • その他
    中央アジアは、カザフスタンやアゼルバイジャンなどの公共支出が伸びて地域経済を押し上げることから、2013年の成長率は5.5%、2014年は6.0%となる。太平洋地域では、パプアニューギニアの液化天然ガスパイプライン計画をはじめとする大型公共プロジェクトが完了するため、2013年の成長率は5.2%にやや鈍化する。2014年は、パイプライン稼動に伴いPNGの液化天然ガスの輸出が始まるほか、その他の国でもサイクロン被災地の復興など新規公共事業が始まるため、成長率は5.5%に戻る。経済規模の小さい国は、観光客が戻ることが見込まれるためその恩恵を受けるだろう。

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1 フルレポートは、http://wcm.adb.org/sites/default/files/pub/2013/ado-2013.pdf
2 インドなど一部を除き、原則としてCPIベース。
3 ミャンマー、スリランカとモルジブ以外の南アジア国、サモア、トンガについては、会計年度を適用。


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