アジア経済見通し発表、 インド経済は2012年上向くが、規制が成長を阻害

【香港、2012年4月11日】アジア開発銀行(ADB)は、本日発表した『アジア経済見通し2012年版』(Asian Development Outlook (ADO) 2012)1の中で、2012年度および2013年度のインド経済は、世界経済が落ち着きを取り戻してやや上向くものの、近年みられたような極めて力強い成長を回復するか否かは、投資などに対する現行規制をどこまで緩和できるかにかかっているとの見方を示した。

ADOは、アジア途上国(日・豪・NZを除くアジア・太平洋の45カ国・地域)の経済成長についてADBが毎年春に発表する代表的報告書。それによると、インドのGDP伸び率は、2010年度に8.4%を記録した後、2011年度に6.9%まで下がった。今後2年の予想についてADOは、先進国経済が持ち直し、インド国内においても金融緩和と財政赤字の減少が進み、長年の懸案である構造改革面で規制緩和の道筋がたてば、2012年度については7.0%と微増、2013年度は7.5%まで持ち直すとしている。

ADBの李昌鏞(Changyong Rhee)チーフエコノミストは、「(インドでは)インフレがなかなか消えず利上げの時期が続いたが、金融政策では緩和に転じると見込まれ、当面は投資が喚起されるだろう。ただ、内外投資家に対し抑止力となっている土地取得や環境保護の規制が解除されない限り、(投資喚起による経済への)プラス効果は限定的なものとなりそうだ」としている。

インドで2011年度の成長が前年度と同水準にとどまった背景には、輸出の減少、消費支出の軟調と投資の低迷がある。鉱工業生産の伸び率は、過去10年で最も低い3.9%まで下がった。GDP全体のほぼ8割を占めるサービス業は堅調を維持した。インフレは、準備銀行が13回にわたって利上げを連続的に行ったこともあり、年度後半に軽減した。年度前半に大きく回復した輸出は、外需が落ち込んだため年度後半まで続かなかった。

今後のインフレ動向については、モンスーンによる降雨量が例年通りと予想されること、および国際商品市況情勢がより安定に向かうとみられることから、2012年度のインフレ率は7%、2013年度は6.5%と、鎮静傾向が続く見通し。しかし長期的にみると、消費パターンの変化や所得向上に伴って増加する食料需要が供給を上回っているため、食料の生産と供給をいかに改善できるかが、消費者物価を左右することもあるだろう。経常赤字は、2012年度に非石油部門の輸入の伸びが鈍化し、2013年度には先進国経済の先行きが明るくなるとみられることから、2012年度は3.3%、2013年度は3.0%まで改善するだろう。

インドでは、投資環境の改善に向けた法案や措置が複数導入されているものの、改革の緊急性に対する国内合意が十分とは言えず、進展ははかばかしくない。ADOは、道路建設と電力関連セクターで案件のスピードが速まっているのはポジティブな兆しだが、投資の大幅増に向けてなすべきことが少なくないとしている。

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1 http://www.adb.org/publications/asian-development-outlook-2012-confronting-rising-inequality-asia。


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