中国経済は減速しつつもソフトランディング ―アジア経済見通し

【香港、2012年10月3日】アジア開発銀行(ADB)は、このほど発表した『アジア経済見通し2012年改訂版』(Asian Development Outlook Update (ADOU) 2012)1の中で、中国の2012年のGDP伸び率を、4月の予測値8.5%から1pp近く低い7.7%に引き下げた。2013年の成長率も8.7%から8.1%に下方修正された。ADOUは、世界的に外需が不振であるほか、主要貿易相手国の景気見通しが不透明であることから、中国経済にとって下振れリスクが短期的に強まる可能性もあるとしている。

中国は2012年上期、輸出は伸び悩み、投資や消費が力強さを欠いたほか、鉱工業生産も低迷。これらが経済の重しとなり、前年同期比のGDP成長率は7.8%にとどまった(2011年上期は9.6%)。一方インフレ率は、2012年が3.2%、2013年は3.5%となる見通し。本年いっぱい落ち着いた状態が続くとみられ、当局にとっては金融政策の余地が広がる。

政府は景気刺激策として、追加支出や減税、インセンティブ、インフラ投資の前倒しなど一連の政策を実施。人民銀行も、インフレ軟化を受け、ベンチマーク金利と預金準備率を1年間でそれぞれ2回引き下げている。とはいえ外需が好転する見通しは当面なく、当局は引き続き、国内における経済成長の源泉を活性化する努力が求められる。諸外国に比べ大きく後れを取っているサービス業にテコ入れをすれば、雇用の大幅増にもつながるだろう。

不動産セクターでは過熱抑制措置がとられているが、本・来年にかけて固定資産の伸びは約20%とみられ、引き続き景気の主な牽引役となろう。上昇傾向にある賃金や、年金、補助金が民間消費を下支えするものの、貿易伸び率は2012年が8%、2013年が10%程度とみられる。一部の銀行では資産の質的劣化が進んでいる兆候もあり、景気低迷を打開しようと地方政府が大型インフラ案件の借入れを急ぐようなことがあれば、悪化の可能性もある。

ADBの李(イ) 昌(チャン)鏞(ヨン)(Changyong Rhee)チーフ・エコノミストは、短期的には欧州圏など世界的な需要低迷が中国経済の大きな足かせだが、財政ポジションは強く、インフレ懸念も後退しているため、拡大策を通じて軟着陸は可能とした上で、持続的成長実現のため、成長源の多様化や構造改革推進に力を入れる必要性を指摘している。

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1 報告書(英文)のフルレポートは、http://www.adb.org/sites/default/files/pub/2012/adou2012.pdf参照。


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