フィリピン、マニラ(2021年3月12日)-フィリピンによる安全かつ効果的な新型コロナウィルスワクチンの購入を支援するため、本日アジア開発銀行(ADB)は、アジア太平洋地域ワクチンアクセスファシリティ(APVAX)による4億ドルの融資を承認し、同国は、APVAXの下で資金支援を受ける最初の国となった。

浅川雅嗣ADB総裁は、「ADBの支援は、すべてのフィリピン国民、とりわけ最前線で働く人々、高齢者、貧困層や社会から取り残された人々など、弱い立場にある人々や重症化のリスクが高い人々を対象とした、新型コロナウイルスワクチンの確保と普及に向けたフィリピン政府の緊急の取り組みを後押しする」とした上で、「新型コロナウイルスワクチンは、フィリピンの経済回復を加速させ、生活の再建や、質の高い雇用を取り戻すために不可欠である。この融資により、ADBは、人の命を救い、一刻も早く日常を取り戻すためのフィリピンの人々の取り組みを支援していく」と述べた。

APVAXの下での新型コロナウイルス対応・抑制のための第二次保健システム強化(The Second Health System Enhancement to Address and Limit COVID-19 under the APVAX: HEAL 2)プロジェクトは、フィリピン保健省による、新型コロナウイルス感染症ワクチンの国際的共同購入枠組み(COVAX)により認定されたワクチン、あるいはAPVAXの適格性基準を満たす二国間のワクチン供給業者から提供されるワクチンの調達と国内への配送を支援するものである。

同プロジェクトには、アジアインフラ投資銀行(AIIB)からの3億ドルの協調融資も提供される。ADBとAIIBからの融資により、5,000万人に上るフィリピン国民を対象とした、最大1億1,000万回分の新型コロナウイルスワクチンの調達が手当てされる。

HEAL 2は、2020年8月に承認されたADBの新型コロナウイルス対応・抑制のための保健システム強化(Health System Enhancement to Address and Limit COVID-19: HEAL)プロジェクトを基に構築され、これを補完するものとなっている。ADBは、2021年1月に、本年度分のワクチンの分配を確保するため、フィリピン政府がワクチン供給業者に対して支払う前払金に充てる目的で、HEAL向け融資から2,500万ドルの再配分を承認した。3月11日現在、フィリピンでは、60万人以上の新型コロナウイルス感染者が確認されており、東南アジアで感染者数が最も多い国の一つとなっている。

APVAXは、ADBによる90億ドルのワクチンイニシアティブであり、開発途上加盟国が効果的かつ安全な新型コロナウィルスワクチンを調達し、提供できるよう、迅速で公平な支援を提供する。HEAL 2の融資の対象となるワクチンは、APVAXの三つの基準のうち少なくともいずれか一つを満たさなければならない。すなわちワクチンはCOVAXを通じて調達されたものであるか、WHOによる事前認定を受けたもの、あるいは製造された国において、厳格な規制当局(Stringent Regulatory Authority: SRA)により認可されている必要がある。

ADBが支援するワクチン供給契約は、反腐敗および信義誠実政策を含む、ADBの調達規則やガイドラインに従うことになっている。HEAL 2の融資契約の下で、ADBはワクチンの供給業者に直接支払いを行う。この融資はまた、医療品の廃棄物管理を含む、セーフガード措置に関する世界的なベストプラクティスに従う。

ADBは、フィリピン財務省が設置した開発パートナー調整作業部会を通じて、フィリピン政府に対して、ワクチンの調達および国家ワクチンロードマップに関する技術協力を行っている。また、政府のワクチン優先接種計画、医療廃棄物管理プログラム、およびワクチン情報管理システムの実施と監視のための技術的サポートも行っている。さらに、高齢者や障害者向けのワクチン接種を含め、優先度の高いその他のワクチンの定期接種の範囲を広げることができるよう、フィリピンを支援している。

ADBは、HEALとHEAL 2に加え、以下の施策を通じてフィリピンの包括的な新型コロナウイルス対策を支援してきた:

  • 2020年3月に、緊急の医療用物資の調達と、パンパンガ州サンフェルナンドにおける新型コロナウイルスの検査所の設立のために300万ドルの無償資金協力を行う。
  • 2020年3月に、緊急食糧支援のための500万ドルの無償資金協力を行い、2020年4月から5月にかけて、マニラ首都圏とその周辺の州に住む16万2,000以上の生活困窮世帯を対象に支援を実施。
  • 2020年4月に15億ドルの融資を行い、政府が実施する賃金助成や社会保護プログラムに貢献。
  • 2020年4月に、貧困世帯を対象とした政府による緊急現金給付の予算手当てを支援するために2億ドルの融資を実施。
  • パンデミックの下での遠隔教育を支援するために、200万ドルの無償資金協力を実施し、教職員への研修や遠隔地の、いわゆる「ラスト・マイル・スクール」で学ぶ貧困世帯の中学・高校生への学習ツールを提供。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

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