【横浜、2017年5月4日】アジア開発銀行(ADB)民間部門業務局の『2016年開発効果報告書』(Development Effectiveness Report 2016)によると、ADBで2016年に承認された民間部門業務は、加盟国の雇用創出、資金へのアクセス、およびビジネス機会において重要な支援となる。
本報告書は、横浜にて開催されているADB第50回年次総会で開かれたイベントで発表された。
ADBは、域内の民間部門業務を支援するため過去1年間に25億ドルの新たな融資を承認し、58億ドルの直接付加価値協調融資を動員した。2016年の総額83億ドルは2015年比で15%増であり、ADBにとって新記録となる。
ADB民間部門・協調融資担当のディワカール・グプタ副総裁は、「アジア太平洋地域におけるより持続可能かつインクルーシブな未来の実現を支援するために、民間セクターは重要な役割を担っている」としたうえで、「2016年のADB民間部門業務は、地域の官民両セクター間の協調を拡大し、ADBの投資が現場で確実な成果をもたらすようにするためのADBの尽力を象徴するものである」と述べた。
ADBの民間部門業務は、持続可能な開発目標、および気候変動に対するパリ協定で設定された目標を加盟国が達成するための支援に重点を置いている。
2016年に承認された民間部門業務は、プロジェクト期間を通し、税収およびロイヤリティ収入により最大102億ドルの貢献を生み出し、加盟国が自国経済圏に投資する能力を支える。さらに33億ドル相当の商品とサービスを現地の民間企業から調達する予定で、これにより現地経済も活性化される。
金融サービス向けの支援プロジェクトでは、2,300万人以上の個人に加え、中小・零細企業にも銀行サービスへのアクセスを開く。承認されたプロジェクトは41万世帯以上の農家を援助する一方で、インフラ中心の投資では、域内の45万世帯を支えられる量のエネルギー発電、および年間7.5億立方メートルの廃水処理を支援する。また、ADBの2016年民間部門業務は年間260万トンの二酸化炭素排出削減に貢献する。
本報告書によると、昨年の全承認額のうち、42%は低所得国および低中所得国に対して行われ、また46%はADBの気候変動緩和と適応関連の取り組みに貢献しており、ともにADBが設定した目標を大きく上回っている。さらに、承認された案件の半分以上にジェンダー固有の要素が盛り込まれ、3分の1近くはインクルーシブ・ビジネスを支持する内容となっている。
マニラに本拠を置くアジア開発銀行(ADB、加盟国・地域数67、うち域内48)は、インクルーシブな経済成長、環境に調和した持続可能な成長、および地域統合の促進を通じて、アジア太平洋地域の貧困削減に取り組んでいる。ADBは、1966年に創設され、地域の開発パートナーとして50周年を迎えた。2016年のADBの年間支援額は、協調融資額140億ドルを含め、317億ドルであった。