【横浜、2017年5月4日】アジア開発銀行(ADB)は本日、横浜で開催されているADB第50回年次総会にて、新刊書籍『アジア太平洋の未来をひらく:アジア開発銀行50年史』(Banking on the Future of Asia and the Pacific: 50 Years of the Asian Development Bank)を発表した。同書は、1966年のADB設立から現在に至るまでの活動を10年ごとに詳述している。また、アジア太平洋地域一帯から挙がったさまざまな提案に端を発するADBの誕生、バンコクやマニラをはじめとする数々の都市で開かれた準備会合、ADBの設立協定・加盟国および地域・本部所在地に関する議論に貢献した域内外の人々の協力についても記されている。

著者のピーター・マッコーリー氏は、オーストラリア国立大学に所属する研究者であり、ADB理事およびアジア開発銀行研究所所長を務めた経歴も持つ。執筆にあたっては、ADB職員の徹底した支援を受けたほか、ADBの元職員をはじめ多くの人々から提供されたコメントや情報が反映されている。

同書は、ADB独自の地域的な視座から、過去50年間にわたってアジアが抱える課題に対しADBがどのように取り組んできたかを客観的・包括的に振り返っており、アジアの経済的発展、国際開発アジェンダの進展、そしてADBの沿革という3つの歴史的観点から構成されている。中尾武彦ADB総裁は、「本書のユニークな点は、ADBと各国との間の豊富な交流の経験に基づいて、アジアの経済史を開発という観点から振り返っているところである」と述べた。

序文で中尾氏は、ADB がアジア太平洋地域全体の人々の心からの願いによって生まれたこと、そしてADB の創設が地域協力の精神の象徴であることを綴っている。同氏は開発途上加盟国の支援におけるADBの功績を振り返り、概ね3つの機能にまとめた。それは、(i) インフラ・社会両セクターのプロジェクトで、ADBの有する資金(融資およびグラント)と専門的知識を組み合わせること、(ii) 対話、能力構築、政策ベース融資を通じた、優れた政策を促進すること、(iii) 地域レベルでの協力と友好関係を築く触媒の役割を果たすことである。

ADBの歴史を詳しく取り上げる書物は、設立20周年を記念して1987年に刊行された書籍以来であり、今回は30年ぶりの試みである。50年に及ぶADBの歴史と、アジア太平洋地域におけるADBの今後の役割においてその歴史が持つ意味合いをテーマに、本日16:00から17:30まで、パシフィコ横浜の会議センター503にて特別セミナーが開催される。

マニラに本拠を置くアジア開発銀行(ADB、加盟国・地域数67、うち域内48)は、インクルーシブな経済成長、環境に調和した持続可能な成長、および地域統合の促進を通じて、アジア太平洋地域の貧困削減に取り組んでいる。ADBは、1966年に創設され、地域の開発パートナーとして50周年を迎えた。2016年のADBの年間支援額は、協調融資額140億ドルを含め、317億ドルであった。

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