フィリピン、マニラ(2020年11月17日)-アジア開発銀行(ADB)は、開発途上加盟国による新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンの利用と、公平かつ効率的なワクチン配布を可能とするシステム構築のための技術協力に2,030万ドルを提供することとした。
この資金は、ADBの開発途上加盟国がワクチンを安全かつ効果的に確保、導入し、その利用に向けた配備や供給および監視能力を強化するために、ワクチンに関する医療システムを評価し、国の準備計画策定の支援を行うために提供される。この資金提供により、加盟国はワクチンの低温での物流管理、感染予防、医療従事者の増員とスキルアップ、リスクコミュニケーションおよびリアルタイムのデータ収集・監視を評価し、強化できるようになる。技術協力は、革新的な低温物流体制やワクチン追跡調査技術の特定と普及も後押しする。
ADBのウーチョン・ウム持続的開発・気候変動局長は、「アジア・太平洋地域のほとんどの国々は、新型コロナウイルスの蔓延を抑えることに成功している。安全かつ有効で、公平なワクチンの利用を確保することは、このウイルスとの戦いにおける新たな課題である」とした上で、「こうした追加的な無償資金協力により、開発途上加盟国がワクチン制度の評価やワクチンの配備戦略を含む緊急対策を講じるための支援を直ちに行うことができ、ワクチンの効率的かつ公平な配布を実現することができる」と述べた。
ADBは、COVAXファシリティ、Gaviアライアンス、世界銀行、二国間援助機関等との協力の下、パートナーであるユニセフや世界保健機関(WHO)と共に技術協力を行う予定である。
この資金は、ADBの技術協力特別基金(TASF)から提供される2,000万ドルと、日本政府より資金拠出を受けている高度技術信託基金から提供される30万ドルによるものである。
ADBは4月に、開発途上加盟国の新型コロナウイルスへの対応を支える支援パッケージを200億ドルに拡大することを承認した。ADBが実施している支援の詳細については、ADBのウェブサイトを参照。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。