エジプト、シャルム・エル・シェイク(2022年11月8日)—アジア開発銀行(ADB)は本日、気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)において、アジア・太平洋地域の水と衛生のレジリエンスと安全保障の構築に向けて、パートナーとともに2021年から2025年の間に2億ドル以上の資金を動員する野心的な計画を発表した。
アジア・太平洋ウォーター・レジリエンス・イニシアティブ(別名RUWR:ARe yoU Water Resilient?)は、幅広い対応をカバーするプログラムであり、地域レベルでの隔たりや、ニーズ、機会に適切に対応することにより、レジリエンスを主流化するための革新的なソリューションの創出に向けた能力や財源の構築を目的とする。
これは、ADBが気候変動適応のためのファイナンスを拡大する取り組みの一環である。
ADBは、2021年から2022年にかけて8,000万ドル以上を動員し、本日、2023年に施行されるこの新たな支援を歓迎した。オランダ政府は、RUWRの下で新たに設立され、水分野のレジリエンス強化を加速させるために適応策やイノベーション、および包摂性(inclusivity)に焦点を当てたウォーター・レジリエンス信託基金に2,000万ドルの拠出を行い、この取り組みを支援する。ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、このイニシアティブの下で、衛生に関するファイナンス・パートナーシップ信託基金(Sanitation Financing Partnership Trust Fund)に1,000万ドルを拠出している。これにより、インクルーシブ(包摂的)な都市公衆衛生サービスの拡大、公衆衛生にかかる技術やイノベーションの試験的導入とそのスケールアップ、インクルーシブかつ強靭で持続可能な衛生システムを提供するための政策立案や能力強化に係る支援が行われる。
ADBは、2023年から2025年にかけて、このイニシアティブが支援する、水と衛生の安全保障とレジリエンス構築のために1億2,000万ドルを超える資金を割り当てる予定である。さらに、RUWRを管理するために、「アジア・太平洋ウォーター・レジリエンスの主流化(Mainstreaming Water Resilience in Asia and the Pacific)」と呼ばれる800万ドルの技術協力(TA)クラスターを設置した。TAクラスターは、ADBの財源に加え、eアジア知識パートナーシップ基金(e-Asia and Knowledge Partnership Fund)と豊かで強靭なアジア太平洋のための日本基金(JFPR)により資金が提供される。
オランダ政府およびビル&メリンダ・ゲイツ財団からの拠出は、2006年以降20カ国における113のADB投資プロジェクトを支援してきたウォーター・ファイナンシング・パートナーシップ・ファシリティ(WFPF)の下でパートナーから受けた、1億1,590万ドルの無償資金協力に追加されることになる。WFPFの他の資金提供パートナーは、スペインとオーストリアの政府である。
Neeta Pokhrel ADB水セクターグループ長は、「水は世界で最も重要な天然資源の一つであり、アジア・太平洋地域では気候変動の影響によってますます脅かされている。水資源は気候変動の影響を受けやすい主要な資源である」とした上で、「水と衛生のリジリエンス強化に向けた今日のこの小さな変革の歩みは、地域レベルでの気候変動への適応を大きく前進させることを意味する」と述べた。
オランダ外務省の水セクターの長であるKarin Roelofs氏は、「気候変動は、アジア・太平洋地域の何百万人もの人々を脅かしており、特に女性と子どもが最も深刻な影響を受けている」とした上で、「私たちは手を取り合って、水セクターをより強靭なものにしなければならない」と述べた。
ビル&メリンダ・ゲイツ財団Global Growth & Opportunity 部門のプレジデントのRodger Voorhies氏は「より頻繁でより深刻な洪水や干ばつに見舞われた地域では、強靭な衛生システムの欠如が公衆衛生上の大きな問題となっている。劣悪な衛生環境に起因する疾病の蔓延は、脆弱で災害の多い地域の最貧困家庭に最も大きな影響を与えている」とした上で、「衛生に関するファイナンス・パートナーシップ信託基金への支援は、ADBとの継続的なパートナーシップを約束するものであり、この地域における都市部の水資源のリジリエンスに係るシステムや知識、能力を構築するとともに、衛生がこの取り組みの中心となることを保証するものである」と述べている。
ADBが最近発表したアジア・太平洋地域における水のレジリエンスの主流化:ガイダンス・ノートは、この地域における気候変動対策を先導するADBの広範にわたる活動に沿って、このイニシアティブの取り組みの指針となるものである。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。