フィリピン、マニラ(2020年12月1日)-アジア開発銀行(ADB)は、インドのウッタル・プラデーシュ州における電力供給の質と信頼性を高めるため、4億3,000万ドルのマルチトランシェ融資ファシリティ(MMF)を承認した。

ウッタル・プラデーシュ配電網改修プロジェクトは、ウッタル・プラデーシュ州における電力供給の効率性や信頼性、並びにその持続可能性を向上させるものである。このプロジェクトでは、農村部の65,000キロメートルに及ぶ低圧配電網の裸線ケーブルから高性能束線ケーブルへの切り替えに資金が提供され、46,000の村落に住む、約7,000万人の住民がその恩恵を受けることになる。 また、一般家庭用と農業用とで電力を分配するため、全長17,000キロメートルに及ぶ11キロボルトの並列式送配電網の建設にも資金が提供される。これにより、農業用電力需要を満たすために太陽エネルギーの利用を推進するとともに、一般家庭向けの電力の供給力を高め、省エネや節水にも貢献する。 さらに、このプロジェクトは、ウッタル・プラデーシュ州電力公社(UPPCL)の女性開発支援やコーポレートガバナンス、財務管理能力を向上させる。

ADBの南アジア地域担当の首席エネルギー専門官であるプラディープ・ペレラ氏は、「信頼性が高く持続可能な電力やサービスの供給は、インドの成長と発展にとって重要な要素である。このプロジェクトは、インドで最も大きく、また最も貧しい州の一つである同州において、インド政府が掲げる『全国民に電力を』というビジョンを、持続可能かつ包括的な方法で全面的に支援するものである」とした上で、「農村部における既存の配電網を改修することで、ウッタル・プラデーシュ州の農村部の顧客に対して、財政的に持続可能な方法で信頼性の高い電力の供給が可能となる」と述べた。

このMFFの他、ウッタル・プラデーシュ州の電力セクターにおける女性開発支援と組織の能力構築を推進するために、ADBの技術協力特別基金(TASF)と貧困削減日本基金から、200万ドルの無償資金協力が提供される。この技術協力(TA)では、農村の女性自助グループの参加による画期的な集金戦略の試行や女性参加に配慮した職場慣行の試験的導入、財務管理能力を高めるための能力構築支援、そして、ウッタル・プラデーシュ電力公社(UPPCL)のプロジェクト管理と環境・社会セーフガードの順守機能の強化を実施する。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

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