フィリピン、マニラ(2022年5月5日)-アジア開発銀行(ADB)の総務会は本日、第55回年次総会の第1ステージにおいて、ADBの2021年の財務諸表と純利益の配分を承認した。
新型コロナウイルスにより引き続き様々な対応に迫られる中、理事会は本年2月、年次総会を2段階方式で開催することを承認した。年次総会のビジネスセッションは、本年後半に開催される第2ステージに繰り延べとなり、パンデミックからの復興に向けた、アジア・太平洋地域の戦略に関する議論などがなされる予定である。
浅川雅嗣ADB総裁は、「ADBによるパンデミックへの対応については、環境に優しく、強靭でインクルーシブな復興への流れを加速させることに焦点を当てて取り組んできた。現在の危機による影響を緩和することと長期的な開発ニーズに対応することは、同時に取り組むことが可能であるからだ」とした上で、「我々は事業全体を通じ、将来の危機に対して強靭性を高め、警戒感を維持していく。連携と綿密な計画を持って、我々はこの地域をリードし、この難局を乗り越えると共に、より強くなると確信している」と述べた。
総務会は、ADBの2021年の通常資本財源から11億6,000万ドルの純利益の配分についての決議を採択した。これは、2020年に報告された11億3,000万ドルを2,900万ドル上回る。この増加は、融資業務からの収益が増加したことと、貸倒引当金額が減少したことによるものである。
配分可能な純利益は次の通りに割り当てられる。ADBの資本成長を支え、純利益を生み出すベースとなる通常準備金へ7億7,830万ドル、低所得開発途上加盟国にグラント(無償資金)を提供するアジア開発基金(ADF)へ2億9,240万ドル、プロジェクトの準備や専門調査、政策研究の実施を通じて借入国を支援する、技術協力のためのグラントを提供する技術協力特別基金(TASF)へ9,000万ドル。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。