マニラ、フィリピン(2023年9月29日)—アジア開発銀行(ADB)は本日、アジア・太平洋地域の複合的・同時発生的な危機への対応のため、今後10年間で1,000億ドルの新たな財源の確保を可能とする資本管理改革を承認した。気候変動危機に対処するためには数千億ドルから数兆ドル必要であり、利用可能な財源は民間資本と国内資本を動員することによりさらに拡大、有効活用される。

この改革は、ADBの自己資本充実度の枠組み(Capital Adequacy Framework: CAF)の改訂を通じて導入された。これにより、ADBの新規の年間契約締結額は約360億ドル以上に拡大し、これは約100億ドル(40%)の増加である。この拡大は、ADBの資本基準を最適化し、全体的なリスク選好度を維持しながら実現される。この改革により、ADBの開発途上加盟国が予期せぬ危機に対処するために利用できる120億ドルの融資バッファー資金も確保できる。

この措置は、今後10年間でADBが独自財源から、開発途上加盟国や民間部門のクライアントに最大3,600億ドルを提供するのを可能にするもので、ADBがAAA(トリプルA)信用格付けを維持し、低コストの長期融資を開発途上加盟国に提供できるように設計されている。この改革は、財政的ストレスが生じた際に資本の目減りを防止する回収計画の導入を通じて、ADBのトリプルA信用格付けをさらに保護する。ADBの自己資本充実度の枠組みは3年ごとに見直される。

浅川雅嗣ADB総裁は、「これらの重要な改革は、最も脆弱な加盟国に対する譲許的な資源提供も含めて、ADBがアジア・太平洋地域における必要不可欠な開発努力を幅広く支援する能力を大幅に強化するものである」とした上で、「本日の決定は、国際開発金融機関に対するより迅速で充実した資源提供の要請へのADBの対応の一環である。これらの資源は、加盟国が地域内で繰り返し発生する複雑な危機に対処し、ジェンダー不平等に取り組み、現実的な気候変動の影響下でのベーシックニーズを提供するための助けとなる。民間資本と国内資本を動員し、ADBの取り組みの成果を最大限に引き出す更なる努力により、この追加的な融資力は一段と拡大・有効活用される」と述べた。

民間資本動員は、開発アジェンダにおける民間セクターの関与を促進し、数十億から数兆ドルの資金を利用可能とする手段として重要な役割を果たす。川上での取り組みは、マクロ経済政策の改善と民間投資に関する制度・環境整備に寄与し、国内外の投資の増加につながる。川中でのアドバイザリーサポートは、プロジェクトのパイプラインを構築し、民間セクターからの投資を呼び込めるようなバンカブルなプロジェクトを準備するのに役立つ。川下でのファイナンスは、民間セクターのリスクを軽減する措置を含み、開発プロジェクトに民間資本を呼び込むように組成される。川上での制度・環境整備と川中・川下での資金動員は、ADBのバランスシートを有効利用し、地域の開発に利用可能な資源を掛算式に増大させる。

各国はまた、より多くの税収を動員し、デジタル化を通じて税務当局を近代化し、公正で十分に機能を果たす国際税制を確立するために協力しなければならない。債務の持続可能性に対処し、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、国内資金動員が不可欠である。ADBは、2021年にアジア・太平洋税務ハブを立ち上げ、ADB、加盟国および開発パートナー間の戦略的政策対話、ナレッジの共有、開発のための調整や連携のためのオープンでインクルーシブなプラットフォームを提供している。

アジア・太平洋地域の貧困層および社会的弱者は、健康、教育、生計を脅かす、相互に連鎖し増幅する危機に強く晒されている。2022年には、同地域の人口の3.9%にあたる約1億5,500万人が極度の貧困状態にあり、特に女性を含む多くの人々が、食料や他の必需品およびサービスに手が届かない生活費危機に直面している。

改訂されたCAFは、ADBが融資能力を拡大するために行なった幾つかの取り組みのうちで最新のものである。5月には、アジア・太平洋革新気候変動金融ファシリティ(IF-CAP)を設立した。これによりドナーはADBのバランスシートにある既存のソブリン(公的)融資の一部を保証できるようになり、新たな気候変動プロジェクトのための資金が利用可能となる。ADBはまた、融資残高の集中によるリスクを軽減するために他の国際開発金融機関とソブリン向けエクスポージャー交換協定を締結する一方、教育のための国際金融ファシリティ(IFFEd)への国際開発金融機関の参加を主導している。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

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