【フィリピン・マニラ、2018年3月23日】アジア開発銀行(ADB)は、PT スプリーム・エナジー・ランタウ・ディダップ社(SERD:PT Supreme Energy Rantau Dedap)と約1億7,530万ドルの融資契約を締結し、インドネシア・南スマトラ州における同社の地熱発電所プロジェクトの第二フェーズに資金供与することを決定した。この案件は、アジア・太平洋地域で民間セクター主導のインフラ開発を強化し、クリーンエネルギーへの投資を支援するというADBのこれまでの取り組みをさらに進めるものである。

また、上記に加え、ADBはクリーン・テクノロジー基金(CTF)からの融資の管理も行う。これは、本プロジェクトの第一フェーズ向けに供与された既存のCTF融資のロールオーバーとして供与される。第一フェーズにおけるCTFからの融資によって、地熱資源量の推定がより確かなものとなり、本件第二フェーズの円滑な資金調達が可能となった。

宵有一朗ADB民間部門業務局インドネシア担当ユニット長は、「この斬新な手法も一助となり、適切なリスク分担がなされれば民間セクターによるインドネシアの地熱発電開発が可能であることを示した。このプロジェクトは、エネルギーミックスの多様化と、二酸化炭素排出量削減に向け、再生可能エネルギーの開発に取り組むインドネシアの強い姿勢を示すものである」と述べている。

インドネシアは、2万9,000メガワット(MW)相当の地熱発電量を有すると推計されており、これは世界の地熱資源量のおよそ40%に当たる。2030年までに二酸化炭素排出量29%の削減を目指すインドネシア政府にとって、地熱は重要な資源となっている。出力90 MW超の発電容量が期待されるランタウ・ディダップ地熱発電所の建設、運営を支援するこのプロジェクトは、インドネシア政府の目標達成に向けた取り組みを後押しする。このプロジェクトにより、13万世帯への電気供給、雇用の創出、さらに2021年以降毎年40万トンの二酸化炭素排出量削減が見込まれる。

SERDは、インドネシアの地熱発電ディベロッパーであるPTスプリーム・エナジー、日本の丸紅株式会社および東北電力株式会社、そしてフランス系多国籍エネルギー会社であるエンジーにより設立された合弁企業である。ADBの他に、国際協力銀行、そして日本貿易保険の保険付で民間銀行三行が融資に参加し、前者が約1億8,880万ドル、後者が約1億2,590万ドル相当の資金を供与する。

このプロジェクトへの融資は、アジア・太平洋地域の開発途上加盟国における気候変動リスクへの対応と、その影響の緩和を目指すADBの取り組みの一環である。これまでにADBの理事会が承認したインドネシアの地熱発電事業には、3億5,000万ドルの融資供与をした世界最大規模320MWの出力を誇るサルーラ地熱発電開発プロジェクト(2014年に調印)や出力80 MWのムアララボ地熱発電プロジェクト(2017年に調印)などがあり、これらについてもCTFから資金の支援を受けている。

CTFは、気候投資基金(Climate Investment Funds)を構成する四つのプログラムのうちの一つであり、低炭素技術の実証、普及、移転を目的として中所得国に譲許的資金を提供する基金である。ADBは、政府ならびに民間向け事業を対象に、11億ドルを超えるCTFの資金を管理している。

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