フィリピン、マニラ(2021年4月21日)–本日発表されたアジア開発銀行(ADB)の『開発効果レビュー(Development Effectiveness Review:DEfR)』によると、2020年にADBは、その長期戦略に掲げられた優先課題に沿った形で業務を進める一方、新型コロナウイルスのパンデミックに対応する顧客のニーズに迅速に応えた。

木村知之ADB戦略政策・パートナーシップ局長は、「貧困や不平等の拡大、そして環境に優しく、インクルーシブで、強靱かつ持続可能なコロナ禍からの復興を通じて持続可能な開発目標(SDGs)を達成する上で新たな課題と機会に直面する中、ADBの取り組みがかつてないほど重要であることを我々は認識している」と述べた。

経営陣が取りまとめた主要報告書の第14版となるこの2020年版開発効果レビューは、測定基準としてADBの組織成果フレームワークの指標を用いながら、ADBの組織戦略に掲げられた優先課題の達成に関する業績について報告するものである。報告書では、ADBが支援している案件に焦点が当てられ、その開発効果を査定し、改善に向けた行動を取り上げるとともに、業績強化が求められる分野を特定している。

報告書には、7つの主な成果領域におよぶ、ADBの新型コロナウイルスのパンデミックへの対応に焦点を当てた特別報告が含まれる。ADBは、コロナ禍における顧客の差し迫った危機的ニーズに対応するために、開発途上加盟国の貧困層に配慮した景気循環対策財政支出プログラムに対する幅広い支援など、保健・医療や社会的保護サービスに重点を置いた、過去最大規模の業務の実施に舵を切った。

新型コロナウイルスに対処するため、ADBは早くも2020年1月末時点でラオスで実施していたヘルス・セキュリティに係るプロジェクトの再編成を行い、2月末までには、パンデミックに対応する初の民間セクター(ノンソブリン)プロジェクトにコミットした。ADBは3月11日までに、開発途上加盟国40カ国を対象として、3,230万ドルにおよぶ7件の既存事業の再編成および新規事業にコミットした。さらに開発途上加盟国によるこの危機への対応を支援するため、2020年4月には、200億ドルの包括的な支援パッケージを発表し、2020年12月には、90億ドルのアジア太平洋ワクチンアクセスファシリティ(APVAX)を立ち上げた。ADBは2020年末までに、アジア・太平洋地域全体で163億ドルをコミットし、そのうち97億ドルの資金の払い込みを実行した。

2020年末に実施されたADBの主要顧客向けの独立調査では、ADBのパンデミックへの迅速な対応が高く評価された。11億人近くにのぼる人々と440万を超える企業が、2020年にコミットされた新型コロナウイルス対応プロジェクトの恩恵を受けたと見込まれる。

本報告書によると、こうした業務の中に、ADBの長期戦略「ストラテジー2030」における優先課題の達成を追求する機会が見いだされたとしている。新型コロナウイルスに対応した業務では、ジェンダー平等の維持や促進が優先され、ADBがジェンダー主流化に向けた業務にコミットした割合については、2018年から2020年の間に過去最高水準に押し上げることに寄与した。一方、気候変動対策をパンデミックに対応した業務に必要に応じて取り入れる努力がなされたにもかかわらず、「ストラテジー2030」で掲げられた気候目標に向けた進捗は、未だ順調に進んではいるものの緩やかなものとなっており、その野心的な目標を達成するためには、今後数年間にさらなる努力が不可欠である。

報告書では、完了したソブリン(公的セクター)向けおよびノンソブリン向け業務の成功率の引き上げが継続的な課題とされており、いずれも2024年の目標達成に向け進捗が遅れている。報告書の最終章では、これらの分野の改善に取り組むために、ADBが2020年に開始、継続、完了した活動の概要が説明されている。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

Media Contact