ベトナム、ハノイ(2019年10月2日)-アジア開発銀行(ADB)は本日、ダニム・ハムトアン・ダーミー水力発電会社(DHD)と、定格要領47.5メガワット(MW)の発電を可能とする浮上式大型太陽光発電設備の導入に向けて3,700万ドルの融資契約に 署名した。同事業は、175 MWのダーミー水力発電所の貯水湖上に設置される。

同事業はベトナムで初となるの浮上式大型太陽光発電パネルの設置事業であり、東南アジアで最大規模になる。

クリストファー・ティームADB民間部門業務局(PSOD)次長は、「同事業は、ベトナムのエネルギーミックスにおいて再生可能エネルギーの比率を大幅に高め、石炭などの輸入化石燃料への依存度を下げることに貢献する」とした上で、「水力および太陽光の2つのクリーンエネルギー技術の組み合わせは、シンプルかつきわめて革新的な成果をもたらすとともに、ベトナムやその他アジア・太平洋地域の国々でも再現可能となる」と述べた。

浮上式大型太陽光発電設備の導入に向けた融資契約の署名式典にて。手前中央には左から、ダニム・ハムトアン・ダーミー水力発電会社(DHD)の最高経営責任者であるLe Van Quang氏とクリストファー・ティームADB民間部門業務局(PSOD)次長。2列目にはデボラ・ポールカナダ大使(左から3人目)とJICAベトナム北村周次長(左から2人目)そしてPSODのチームメンバー一同。

 ベトナム電力総公社(EVN)の子会社であるDHDは、現在、4つの水力発電所を所有・運営しており、総発電容量は642.5 MWに上る。その内訳は、Da Mi(175 MW)、Ham Thuan(300 MW)、Da Nhim(160 MW)、Song Pha( 7.5 MW) となっており、ベトナムの総発電容量の約1.7%を占める。

DHD取締役会会長のNguyen Trong Oanh氏は、「ベトナムで初となる、ダム貯水湖上を利用した浮上式水上太陽光発電所の建設に携われることを誇りに思う」とした上で、「同事業は、化石燃料への依存度を下げ、エネルギー安全保障に貢献し、気候変動を緩和し、さらには環境保全や社会経済開発を促進するというDHDの再生可能エネルギー投資戦略に合致するものである。また、ベトナム南部における水力発電用ダム貯水湖を利用した太陽光発電事業は大きな可能性を秘めている。ADBとEVNの強固なパートナーシップのもと、我々は、この新たなエネルギー資源をベトナムの発展に向けて活用するために協力した」と述べた。

この融資パッケージには、ADBの通常資本財源から1,760万ドルが拠出される。また、「アジア民間セクターのためのカナダ気候基金」およびそれを引き継いだ「アジア民間セクターのためのカナダ気候基金II」から譲許的な協調融資として、1,500万ドルが提供される。これらの基金は、アジア・太平洋地域における気候変動の緩和や適応のプロジェクトへの民間投資を促進する目的でカナダ政府によって設立されたものである。

さらにこの融資パッケージには、国際協力機構(JICA)から15億ドルの出資承諾を得た「アジアインフラパートナーシップ基金(LEAP)」から、440万ドルのパラレルローンが含まれる。LEAPは、ADBの開発途上加盟国における質の高い、持続可能な民間セクターによるインフラ事業を対象に支援しており、温室効果ガス削減や省エネルギー、良心的な価格での医療サービスの提供、通信サービスなどの多岐にわたる分野への支援を提供する。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBが2018年に新たに契約署名した融資およびグラントの総額は216億ドルにのぼる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

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