ADBはアジア・太平洋地域への気候関連支援額を 2020年までに年60億ドルに倍増

News Release | 2015年9月25日

アジア開発銀行(ADB)の中尾武彦裁は25日、現在30億ドルとなっている気候関連の年間支援額を、2020年までに60億ドルに倍増させることを発表した。これにより、ADBによる気候変動に対する取り組みは、2020年までにADBの支援額全体の約3割に達する。

ADBによる上記発表の背景には、途上国における気候変動に対応するため、2020年以降毎年1000億ドルを動員するという先進国によるコミットメントがある。

ADBが投じる60億ドルのうち、40億ドルは、再生可能エネルギー、エネルギー効率、持続可能な交通、およびスマートシティ建設への支援拡大を通じた緩和策に、残る20億ドルは、気候変動に対応したインフラおよび農業、および気候変動に伴う災害への備えを通じた適応策に充てられる。

気候関連支援額の倍増は、ADBの戦略的優先事項を反映しているほか、通常資本財源と(譲許的資金支援の財源である)アジア開発基金のエクイティ部分を2017年に統合し、そのバランスシートをより効率的に活用することでADBの総資金支援能力が最大5割増となることとも関連している。

中尾総裁は、「ニューヨークに今週末集まる世界のリーダー達は、歴史的な17の持続可能な開発目標(SDGs)の2030年までの達成を公約する予定であり、ADBも、同目標達成を資金支援するという世界的な取り組みにおける重要な一員となる用意がある」としたうえで、「海面の上昇や氷河の融解、さらに洪水や干ばつといった気象の激甚化によって人々の暮らしが損なわれ、多数の人命が失われているアジア・太平洋地域ほど、気候変動への対処が必要とされる地域はない」と述べている。

13番目のSDGは、気候変動とその影響を軽減するため、迅速に行動することを明示的に呼びかけている。変化する気候に緩和と適応の両面で対処していくことは、貧困撲滅、食料・水の安全保障の実現、エネルギーへのアクセスの確保、持続可能な都市の建設を含む他の目標の多くを達成する上でも、カギとなる。

本年末にパリで開催される国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において、気候に関する新たな国際的合意と、資金動員方法が取りまとめられる。

ADBは、気候関連支援の強化に加え、官民のパートナーとの新しく革新的な協調融資の機会を、引き続き模索していく。例えば、貧困国におけるADBの適応プロジェクトのため、稼働しつつある緑の気候基金から譲許的資金を動員することを目指す。また、ADBが出資しているアジア・クライメート・パートナーズのようなプライベート・エクイティ・ファンドを通じて機関投資家の資金を活用するほか、気候関連業務の重要な資金源とすべく、グリーン債の発行も増やしていく。

中尾総裁は、気候変動への取り組みにおけるテクノロジーの重要性を強調するとともに、よりクリーンで先進的な技術をADBのプロジェクトに組み込むことを促進するため、調達システムを調整すると述べている。ADBはまた、世界の卓越した研究拠点とのパートナーシップを強化し、気候変動に関する最先端の知識や専門的技術を加盟国に提供していく。