フィリピン・マニラ(2020年9月17日)-アジア開発銀行(ADB)は、アジア・太平洋地域各国や開発パートナーの間での租税政策や税務行政に関する知識の共有を促進し、協力を強化するために地域ハブを設立する。

浅川雅嗣ADB総裁は、ADB第53回年次総会のセミナーの中で、「新型コロナウイルスによって変容した世界において、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に成功するためのカギの一つは、国内資金動員(DRM: domestic resource mobilization)と国際税務協力(ITC: international tax cooperation )の強化にあると確信している」と述べた。

DRMとITCを担う域内ハブは、開発途上国の財務・税務当局、国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)、世界銀行などの国際機関および域内の税務協会との緊密な協力を通して、DRMとITCの促進に重点的に取り組む。 

近年、多くの開発途上国は力強く安定的な国内総生産(GDP)成長率を維持してきたものの、税収はそれに比例して増加したわけではなかった。今回のパンデミック以前においても、多くの国は、持続可能な発展に必要とされる最低限の税収レベルと広く認識されている対GDP比15%の税収レベルを確保できていなかった。新型コロナウイルスのパンデミックによって財政支出圧力が高まるとともに税収が減少して、その状況はさらに悪化し、対外借入を増やす余地もほとんど残されていない。

セミナー参加者は、パンデミックからの力強い回復に貢献する、税収増と投資促進への取り組みを各国政府がいかに両立させなければならないかについて、そして課税基盤の拡大を追求しつつ、納税者の信頼を得ることの必要性について議論した。公正かつ公平な方法で税収を増やすために、積極的な税務計画の管理や脱税対策などで各国政府はより緊密に協力しなければならない。そのためには、税源浸食と利益移転(BEPS: base erosion and profit shifting)に関する包摂的枠組みや透 明 性 と 課 税 目 的 の 情 報 交 換に関するグローバル・フォーラムなどの国際的なイニシアティブへのより高いレベルでの参加が求められる。

域内ハブは、組織および人材の能力開発などの多様な機能を担い、情報交換、パートナーや国際金融機関、各国の歳入管理機関や開発途上国政府の間の知見の共有、そして開発パートナーの間の協力や調整などを行う。域内ハブは、開かれたインクルーシブなプラットフォームであり、途上国間の政策対話に重点的に取り組む。 また域内ハブは、税制改革について意義ある進展を達成するために、開発途上国の税務政策や税務行政を担当する部局から実務者を集めるよう努める。 

このハブにおいて生み出される相乗効果が、必要とされる改革の実施において高い付加価値と効果を確かなものとする。 

域内ハブの設立にあたり、ADBはまた、技術協力や政策⽀援型融資などの業務の中でDRMやITCの主流化を図り、各国政府のDRMや国際税務基準の採用を促進するための能力強化を支援する。

同セミナーのスピーカーは、麻生太郎副総理兼財務大臣、スリ・ムルヤニ・インドラワティ インドネシア財務大臣、ヴィトール・ガスパール IMF財政局長、パスカル・サンタマン OECD租税政策・税務行政センター局長など。ナオミ・ファーガソン ニュージーランド内国歳入庁長官が司会を務めた。

また、世界銀行、太平洋島嶼国税務行政官協会(PITAA)およびアジアの税務行政と研究に係る専門家会合の代表者も見解を述べた。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。 

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