フィリピン・マニラ(2022年5月3日) — アジア開発銀行(ADB)は、2022年から2024年にかけて最大180億ドルの政策支援型融資(PBL)を供与することを承認し、グリーンで、強靭かつインクルーシブな復興に取り組む開発途上加盟国を支援するための危機対応手段を強化した。

木村知之ADB戦略政策・パートナーシップ局長は、「アジア・太平洋地域では、新型コロナウイルスのパンデミックへの対応で進展が見られたものの、新たな変異株やインフレの脅威、金利上昇による財政面での圧力やロシアのウクライナ侵攻による不確実性など、この地域の経済見通しに対する深刻なリスクが依然として存在する」とした上で、「この追加支援パッケージにより、引き続きADBは顧客のニーズに対応し続けていくことが可能となり、気候変動や不平等の拡大への対処、そして今後の災害に対する強靭性の構築など、この地域が直面する長期的な構造的課題への対応を支援していく」と述べた。

コミットメントの枠が拡大されたPBLにより、開発途上加盟国の重要な政策改革の実施や開発に必要とされる資金不足への対応を支援する。また、開発効果の最大化を図るために、ADBは、PBLの質を高め、理事会による監視を強化するための措置を講じる。

ADBは、経済的ショックに直面する開発途上加盟国に対してより良い支援を提供するために、経済危機下において、迅速な緊急財政支援を提供する景気対策支援ファシリティーを強化した。今回の改定には、最も脆弱な低所得国および低位中所得国への適用範囲の拡大、各国の供与枠の引き上げ、貧困層や脆弱層への重点的な支援強化、そしてアクセス改善を目的とした、融資に係る条件緩和措置などが含まれる。

さらに、健康危機などを含むより広範囲な将来の緊急事態に備えるため、また頻繁に災害や緊急事態にさらされる開発途上加盟国に対して複数年の資金補充オプションを導入することにより、ADBの緊急災害資金支援が強化された。

木村氏は、「今回の追加支援のパッケージと既存の支援手段の強化は、直面している課題に対処し、グリーンで、強靭かつインクルーシブな復興を実現しようとする開発途上加盟国を後押するADBの能力を高めるものである」と述べた。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

Media Contact