ジャカルタ (2019年4月29日)アジア開発銀行(ADB)は、インドネシア最大のコンバインドサイクル・ガスタービン(CCGT)発電所であるジャワ1プロジェクトに対する総額3億500万ドル超の民間セクター融資案件の初回貸出を実行したと発表。マイケル・バロー民間部門業務局長は、「民間セクターの参加による低炭素発電の促進を戦略とするインドネシアにとって、ADBは最適なパートナーである」としたうえで、「このプロジェクトは、液化天然ガス(LNG)のサプライチェーンを強化し、エネルギー安全保障の向上と、発電コストの引き下げを図る同国の取り組みを支援するものである」と述べた。

同プロジェクトは、西ジャワ州カラワン県チラマヤにおける1,760メガワットのCCGT発電所と、それに付随するインフラ建設で構成されている。ADBの融資には、直接融資1億8,500万ドルと、ADBが管理するアジアインフラパートナーシップ信託基金 (LEAP: Leading Asia’s Private Infrastructure Fund)による融資1億2,000万ドルが含まれる。

ジャワ1プロジェクトは、インドネシアでLNGを使用する最大、かつ初のプロジェクトの一つであり、石炭やディーゼル燃料への依存を減らし、天然ガスなど、よりクリーンな国内エネルギー資源を活用しようという同国政府の取り組みを示している。本プロジェクトからの電力は、インドネシア国営電力公社(PLN)に売電される。このプロジェクトにより、インドネシアの二酸化炭素排出量は177万トン削減される。

なお本プロジェクトは、Infrastructure Journal and Project Finance Magazine (IJGlobal) による2018年Asia Pacific Gas-Fired Power Deal of the YearおよびThomson Reuters Project Finance International (PFI)による2018年Asia Pacific Power Deal of the Yearにも選ばれている。

ADBは、2005年にタングー天然ガス液化施設の新規開発に3億5,000万ドルの融資を提供したのに続き、2016年には同施設拡張のために4億ドルを融資するなど、インドネシアの天然ガスバリューチェーンの強化を支援している。ジャワ1プロジェクトで使用されるLNGは同天然ガス液化施設から供給される見込みである。

ジャワ1プロジェクトは、2021年以降、インドネシアの1,100万世帯に電力を供給する見込みであり、これは2024年までに電化率100%を目指すインドネシア政府の目標の達成に資するものである。またこのプロジェクトにより、建設時は約4,800人の雇用を、稼働時には125人の雇用を創出する。さらに、ADBがモニタリングを行うことになっている女性の雇用拡大・生活自立教育・技能修練の目標達成を目指すことで、女性の生活改善にもつながる。

LEAPは、民間セクターによるアジア・太平洋地域のインフラ整備を目的としたADBの協調出融資ツールの一つであり、国際協力機構(JICA)からの15億ドルの出資による信託基金として、2016年8月に設立された。これにより、ADBの自己資金や民間パートナーの資金も合わせて、少なくとも60億ドルの資金が動員されることが期待されており、質の高い持続可能なインフラ整備への支援がさらに促進される。

ADBの試算によると、インドネシアのインフラ投資には、2016年から2030年の間で1兆1,000億ドル、気候変動適応対策を含めれば1兆3,000億ドルが必要とされる。本プロジェクトを含め、今後も低コストで持続可能なエネルギーへの投資を加速させることは、同国の経済・社会開発目標達成に極めて重要である。

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