フィリピン、マニラ (2021年12月14日)– アジア開発銀行(ADB)は、アッサム技能大学(Assam Skill University: ASU)の設立を通じた技能教育や訓練の強化のために、1億1,200万ドルの融資を承認した。
アッサム州は、豊富な自然資源と高い若年人口比率を有するにもかかわらず、その成長潜在力を活かせていない。同州の経済は、自然資源をベースとした低付加価値の産品が多くを占めており、グローバル・バリューチェーンや域内バリューチェーンとの統合が不十分である。また、同州は自然災害が発生しやすい特性があり、気候変動による被害が激しくなる可能性が高い。あまり高い成長が見込まれない中で、雇用や教育を求める人材の流出が進み、アッサム州の技能人材の不足を悪化させている。
丸山麻子ADB南アジア局上級教育専門官は、「ADBによるASUへの支援は、技能の向上と流動性を確保する道筋をつけることで、技能の水準を向上させ、アッサム州の経済や産業の生産性と競争力を高める」とした上で、「このプロジェクトは、若者や成人、特に女性や弱い立場にある人々の技能および雇用可能性を向上するとともに、より高賃金で適正な就業機会を得られる可能性を高める」と述べた。
本プロジェクトは、ASUの管理運営システムやビジネスモデルの開発、および教職員の育成を支援する他、効率的で持続可能な運営を実現するために、環境的に持続可能で気候変動に強靭なキャンパスや施設の設計と建設を支援する。また、最先端のデジタル技能プログラム、キャリア開発プログラムと関連するサービス、並びに継続的な教育プログラムを含め、産業ニーズに合わせた柔軟な技能教育および訓練プログラムの設計や提供を支援する。
本プロジェクトでは、起業家精神や活動、応用研究・開発(R&D)、そして技術移転を支援し、管理するASU教職員の能力開発を進め、技術職業教育訓練(TVET)機関の教官や教職員の専門的能力の開発を促進する。また、本プロジェクトによって、ASUと近隣諸国のTVET機関および高等教育機関との協力をさらに深化させ、共通の戦略的産業振興のためのプログラムを確立する。
さらに、貧困削減日本基金(JFPR)から100万ドルのグラントが提供され、スマートキャンパスの運営や総合的な教育、学習、キャリア開発管理のための技術導入を支援する。また、このグラントにより、インフラや産業開発のニーズに対応するためのASUによる高度な技能教育と訓練のプログラムの開発、そして応用研究・開発プロジェクトを支援するとともに、学生や地元の起業家、スタートアップ、中小零細企業向けの起業プログラムや事業開発サービスを支援する。
ADB は、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。