マニラ、フィリピン(2019年8月1日)- アジア開発銀行(ADB)は、開発途上加盟国の災害に向けた備えを強化するとともに、災害後の復旧における資金需要に迅速に対応するための新たな資金調達メカニズム「緊急災害ファイナンス」(CDF:Contingent Disaster Financing)を導入しました。

「CDFは、自然災害が起きた際に、他の資金動員が可能になるまで迅速かつ柔軟な災害への財政対応を実現し、更に、開発途上加盟国における災害に対し、準備とリスク管理を促進します。」 とADB戦略政策・パートナーシップ局長の木村知之氏は述べました。

アジア太平洋地域は、世界で最も自然災害が起こりやすい地域です。国連によると、2014年から2017年の間に、同地域の国々は55件の地震、217件の暴風雨、236件の洪水等の自然災害に見舞われ、6億5,000万人が影響を受けました。また、自然災害による死者は、約33,000人に上ります。

2019年8月1日にADBの理事会によって承認されたCDFは、台風、洪水、地震、干ばつ、津波などの自然災害によって引き起こされる災害を対象としています。 CDFの重要な要素は、包括的な災害リスク管理の概念のもとに政策改革をサポートすることです。 CDFが開発途上加盟国に対して一度承認されると、災害が発生するまでCDFは有効のままです。それにより、開発途上加盟国は自然災害が発生した際に、迅速かつ効果的に復旧・復興するために必要な資金移動を可能とします。

また木村氏は、「復旧や復興のための追加支援が必要な場合は、必要に応じてADBの緊急対応融資や、その他融資スキームを通じて支援を行うことも可能である。」とコメントしました。

CDFは、ADBが新たに策定した「ストラテジー2030」の優先事項:「気候対策、気候変動と災害に強い社会の構築及び環境の維持・向上」に向けて積極的取り組んでいます。2018年には216億ドルに及ぶ新たなグラントと融資に調印しました。

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