フィリピン、マニラ(2021年2月9日)-アジア開発銀行(ADB)は2月2日に、アジア・太平洋地域における技術・職業教育訓練を含む教育セクター関連事業に資金支援をするため、エデュケーション・ボンドを初めて発行した。7,500万豪ドルのこの10年債は、日本の第一生命保険株式会社が全額を購入し、クレディアグリコル証券がそのアレンジを担当した。
ピエール・ヴァン・ペテゲム財務局長は、「ADBにとって初めてとなるエデュケーション・ボンドの発行をお知らせできることを嬉しく思う。これは特に、新型コロナウイルスのパンデミックにより教育制度に深刻な影響が及んでいる開発途上加盟国への我々の支援を後押しするものである」と述べた。
新型コロナウイルスのパンデミックを要因とする学校の閉鎖により影響を受けた学生は、全世界で17億人に上ると推定されている。ADBは、質の高い教育機会の拡充に向けた取り組みを強化し、遠隔・オンライン学習の利用をさらに進めるとともに、手頃な価格で信頼性の高いインターネット接続環境を拡大するためのパートナーシップにより、公正な学びや訓練、指導の拡充に向けてデジタル技術のより広範な活用を進めていく。
ADBは2021年1月に、「アジア・太平洋地域における新型コロナウイルスと教育」と題したガイダンス・ノートを発表し、開発途上加盟国に対し、教員の専門能力開発の推進など要になる政策改革を策定するとともに、長期的な視点から教育制度の質と実用性、包摂性を高めるための具体的な施策を取りまとめるよう求めている。このガイダンス・ノートは、「3つのR」:Response(対応)、Recovery(回復)、Rejuvenation(再生)の枠組みの下、幼稚園から高等教育(K-12)、そして技術・職業教育訓練にいたるまで、具体的な対策を示している。新型コロナウイルスに関する加盟国からの要請やその他の新たな課題に対応するために、ADBの教育セクターへの年間コミットメントは、2020年の10億ドルから2021-23年には約20億ドルへと倍増する見込みである。ADBは現在、教育セクターに60億ドル以上の投資を実施中である。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。