フィリピン・マニラ(2022年9月6日)-アジア開発銀行(ADB)と日本の農林水産省(MAFF)は、アジア・太平洋地域における持続可能かつ強靭な食料・農業システム構築の推進に向けた、両機関の連携強化のための協力覚書(MOC) を締結した。
このMOCは、アジア・太平洋地域の食料安全保障の強化を目的とする、両機関の協力のあり方についての課題と機会について話し合う政策対話の冒頭において、ウーチョン・ウムADB事務総局長兼副総裁代行と農林水産省の小川良介農林水産審議官により署名された。
ウムADB事務総局長兼副総裁代行は、「アジア・太平洋地域は、新型コロナウイルスのパンデミックやヨーロッパで進行する紛争による経済的影響への対応に直面しており、今後もこれらの問題は食料システムに深刻な影響をもたらす。我々は、この地域の食料安全保障を確かなものとするために、より持続可能で強靭な食料システムを構築する必要がある」とした上で、「ADBは、この地域における気候変動対応型農業と食料安全保障の構築への日本の積極的な関与に感謝するとともに、農林水産省との緊密な協力に期待している」と述べた。
農林水産省は2021年、2050年までに日本の農林水産業における化石燃料の燃焼による二酸化炭素の排出をゼロにするため、フードサプライチェーンの各段階における関係者の関与を強化し、イノベーションを通じて生産性の向上と持続可能性の確保を図る「みどりの食料システム戦略(MeaDRI)」を策定した。農林水産省は、デジタルツール、農業用機械、病害虫防除などの革新的で持続可能な農業の実践と技術を導入するため、国際協力を拡大している。
小川農林水産審議官は、「我々の取り組みから得た知識や経験は、いくつかの地域的特性を共有することから、近隣諸国、特にアジアモンスーン地域の持続可能かつ強靭な食料・農業システムの実現に向けた変革を後押しすることができる」とした上で、「地球規模課題に対処するため、各国や国際機関が一丸となって、持続可能かつ強靭な食料システムの構築に向けて協力を進めることが重要であり、ADBは我々の極めて重要なパートナーである」と述べた。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。