フィリピン、マニラ(2021年2月2日)-アジア開発銀行(ADB)と日本の経済産業省(METI)は、東南アジアにおけるクリーンエネルギーの推進に向けた連携強化のための協力覚書(MOC)を締結した。
バンバン・スサントノADBナレッジ管理・持続的開発担当副総裁と経済産業省の田中繁広経済産業審議官が署名したこのMOCは、クリーンエネルギーを促進する官民協働イニシアティブであるCEFIA(Cleaner Energy Future Initiative for ASEAN)の下での両機関の連携枠組みを強化するためのものである。この協力にあたっては、再生可能エネルギーや省エネ性能の向上、さらには低炭素エネルギーへの移行を推進する技術に重点を置く。
スサントノ副総裁は、「東南アジアは近年、前例のない成長を遂げており、同地域の持続可能な発展の実現が極めて重要である」とした上で、「日本は、ADBにとってとても大切なパートナーであり、このMOCは、ASEAN地域において進んでいるエネルギー転換を加速し、気候変動対策を推し進めるための、我々の連携とコミットメントをさらに強化させる」と述べた。
ADBと経済産業省はこのMOCに基づき、CEFIAの主要プロジェクトの組成や実施に係る協議および必要な助言を行う。また、両機関は、政策面での研究や能力開発に関する活動を展開するとともに、エネルギー分野におけるデータ分析や知識、そして経験も共有していく。
2019年に発足したCEFIAは、ASEAN地域における持続可能なエネルギーと低炭素技術の普及を促進するため、官民協働による取り組みを推進している。このMOCは、タイのエネルギー省が主催し、経済産業省による協力並びにASEANエネルギーセンターの支援のもとオンラインで開催された、第2回CEFIA官民フォーラムで締結されたものである。
2008年から2020年までのADBのクリーンエネルギーに係るソブリン事業およびノンソブリン事業への投資額は、250億ドルを超える。ASEAN地域におけるADBのクリーンエネルギーへの投資は、2020年に4億4000万ドルに上り、全体のポートフォリオの22%を占めている。長期戦略「ストラテジー2030」の下、ADBは、気候対策のためにADB独自の財源から2030年までに累積で800億ドルの融資を提供することを目標としており、また、加盟国における業務案件数の少なくとも75%において、気候変動への適応・緩和策を支援することとしている。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。