ADBとJICA、高齢化の進むアジア太平洋地域に おける健康の安全保障の強化に向けた 覚書を締結 | Asian Development Bank

ADBとJICA、高齢化の進むアジア太平洋地域に おける健康の安全保障の強化に向けた 覚書を締結

ニュースリリース | 2017年5月4日

【横浜、2017年5月4日】アジア開発銀行(ADB)と国際協力機構(JICA)は本日、急速に高齢化が進むアジア太平洋地域における健康の安全保障(Health Security)の強化とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の促進に向けた戦略的パートナーシップの設立に関する覚書を締結した。

覚書は、横浜で開催されているADB第50回年次総会の日本政府主催イベントにて、ADBの中尾武彦総裁とJICAの北岡伸一理事長により署名された。高齢化が進むアジア太平洋地域における持続可能な開発のための取り組みに焦点を当てた本イベントには、木原稔財務副大臣も出席した。

中尾氏は、「アジア太平洋地域は、経済開発と貧困削減において著しい進歩を遂げてきた。しかし、アジアはまだ、保健サービスと効率的な保健制度へのアクセスの改善など、さまざまな開発課題に直面している」としたうえで、「ADBは、JICAとの連携を通じ、域内の高齢化する人口に重点を置き、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジに対する支援を一段と強化していく」と述べた。

中尾氏は、ADBが追求してきた包摂性、包括的ケア、持続可能性、イノベーション、民間セクターの参画、マルチセクター・アプローチ といったUHCの鍵となる原則を強調した。

覚書の目的は、UHCを通じたあらゆる世代の人々の健康・福祉の促進や、鳥インフルエンザや中東呼吸器症候群(MERS)のような公衆衛生危機に対する備え・対応能力の向上による健康の安全保障の強化のため、ADBとJICAの連携を強化することである。覚書は特に、非感染性疾患や認知症の予防・治療など、高齢者特有の健康問題に対する取り組みを重視している。このような課題への対応にあたっては、国民皆保険を1961年に達成し、高齢者介護と地域包括ケアシステムにおける豊富な経験を有する日本独自の知見を活かしていくことを想定している。

木原氏は、「日本政府は、これまで様々な機会を通じて、感染症危機時における対応力の強化と危機への備えにも資するUHCの推進に注力してきており、また、アジア健康構想(Asia Health and Wellbeing Initiative)を進めている」と語り、「今回の覚書を契機として、日本とADBが開発途上国の保健分野での協調をより一層加速していくことを期待する」とした。

北岡氏は、「高齢化に関し、JICAが優先する協力分野のひとつは、健康の促進、病気の予防、医療ケア、および地域レベルでの社会参加を統合する地域包括ケアシステムを紹介することである」と述べ、「このアプローチは、人間一人ひとりが幸せに尊厳を持って生活できることを保証する『人間の安全保障』という日本が推進する考え方に基づくものである」とした。

ADBとJICAは、覚書の下で、保健政策の提言、保健人材の育成、そして医療・介護に関する組織的能力構築等についての技術協力の連携を図っていく。両機関はまた、医療施設や上水・衛生施設をはじめとする保健・福祉関連のインフラに対する協調融資の機会も検討していく。さらに、官民両セクターのパートナーとも連携しつつ、両機関での情報や知見の共有を促進していく。

今回のパートナーシップは、持続可能な開発目標の中で、健康と福祉に関連する目標3の実現に貢献することが期待される。ADBとJICAは、覚書に基づく連携の進捗状況を確認し、更なる連携強化に関して話し合うため、年次協議を開催していく。

マニラに本拠を置くアジア開発銀行(ADB、加盟国・地域数67、うち域内48)は、包摂的な経済成長、環境に調和した持続可能な成長、および地域統合の促進を通じて、アジア太平洋地域の貧困削減に取り組んでいる。ADBは、1966年に創設され、地域の開発パートナーとして50周年を迎えた。2016年のADBの年間支援額は、協調融資額140億ドルを含め、317億ドルであった。