フィリピン、マニラ(2020年6月2日) - 浅川雅嗣アジア開発銀行(ADB)総裁と北岡伸一・国際協力機構(JICA)理事長は本日、新型コロナウイルスのパンデミックに対応する開発途上加盟国の取り組みを支援するために、協力関係を一層強化することを改めて確認した。

浅川総裁は、「ADBとJICAは、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に向けた開発途上加盟国による取り組みへの支援や、質の高いインフラ実現を目的とする事業への協調融資など、多くの重要な分野で、長きにわたり協力関係を築いてきた」とした上で、「新型コロナウイルスは、この地域に保健医療や社会、経済上の脅威をもたらしている。両機関が、このパンデミックに対処する開発途上加盟国を支援するために、協調融資など、さらに協力関係を強化するための方策を見い出すことが重要である」と述べた。

両氏はリモート会談の中で、新型コロナウイルスのパンデミックにより影響を受けたアジア・太平洋地域の経済・社会的状況や両機関によるそれぞれの支援パッケージについて情報交換を行った。

ADBは4月13日、新型コロナウイルスのパンデミックに対応する開発途上加盟国の差し迫ったニーズに応えるため、200億ドルの支援パッケージを発表した。このパッケージには、迅速かつ低コストで提供される130億ドルの財政支援が含まれ、貧困層や社会的弱者に目を向けた景気対策のための財政支出を実行しつつ、パンデミックによるマクロ経済への深刻な影響に対処する開発途上加盟国を支援する。また、このパッケージのうち約25億ドルは譲許的資金および無償資金であり、さらに約20億ドルが、貿易やサプライチェーンの回復を目的とした民間セクター向けの融資や保証に充てられる。またADBは、新型コロナウイルスに対処するために、開発途上加盟国が保健医療やその他関連分野について、計画立案や改善、実施、モニタリングなどの取り組みを行う上で、技術協力を拡大していく。

JICAは、新型コロナウイルスに対応する各国の能力を強化し、深刻な被害を受けた経済活動を回復させるために、新型コロナウイルス危機対応緊急支援融資プログラムを準備している。その支援は、JICA単独での融資、あるいはADBなどの国際開発金融機関との協調融資の形で提供される。

ADBとJICAは、質の高い公共インフラ投資のために2016年から2020年の間に100億ドルを目標に協調融資を実施するとした戦略的パートナーシップを結んでいる。両機関はまた、2016年に15億ドルのアジアインフラパートナーシップ信託基金(LEAP)を創設し、官民連携を含め、インフラ開発に対する民間投資を促進している。

そしてまた両機関は、2017年5月に締結されたパートナーシップの下、国や地域レベルでの健康安全保障やUHC、高齢者特有の保健医療の問題などの分野で協力を進めていく。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

 

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