【フィリピン・マニラ、2018年3月28日】 アジア開発銀行(ADB)と独立行政法人国際協力機構(JICA)は、本日、オラム・インターナショナル・リミテッド(OIL:Olam International Limitedまたは「オラム社」)とその子会社カフェ・アウトスパン・ベトナム・リミテッド(COVL:Café Outspan Vietnam Limited)との間で、1億6,300万ドルの融資契約を調印した。この融資は、インクルーシブかつ持続可能な農業バリューチェーンの改善と、インドネシア、パプアニューギニア、東ティモールおよびベトナムの最大2万人の小規模農家の収入向上に繋がる。

ADBによる融資は、OILに対する8,300万ドルとCOVLに対する500万ドルで構成されている。ADBにとって、JICAとの直接の協調融資による初のノンソブリン向け支援(主に民間部門を対象とする政府保証のない支援)となる。JICAは、COVLに7,500万ドルを融資する。

ジュヒュン・チョンADB投資専門官は次のように述べた。「バリューチェーンを正式に構築することは、アジア・太平洋地域の農業従事者にとって、世界経済の一部となり、農産物の価値を高めるために不可欠である。ADBとJICAは、OILとCOVLとのパートナーシップを組むことにより、小規模農家の生産と事業拡大を支援し、インクルーシブかつ持続可能な開発を促し、その生活の改善に寄与できるだろう」。

柴田尭JICA投資オフィサーは、「オラム社の農業バリューチェーン改善に向けた包括的で草の根的な取り組みは、農業従事者やアグリビジネス業界にとって極めて有効な影響を及ぼす。ADBの民間部門事業との連携については、初の直接協調融資契約を結び、今後さらなる協力を模索していきたい」と述べた。

OILの東南アジア地域責任者であるプラカーシュ・ジャンワーは、「今回の融資契約は、農業生産の未来にとって重要であり、オラム社、ADB、JICA三者の共通の目的でもある、農業従事者の経済的繁栄と、彼らが環境保護に向けての担い手となることを後押しするものである」と述べた。

農業バリューチェーン開発プロジェクトは、OILの中間製品製造能力拡大のために資金供与することにより、同社による2019年までの投資計画(2億1,100万ドル)を後押しし、特にインドネシア(コーヒーおよびココア)、パプアニューギニア(コーヒーおよびココア)、東ティモール(コーヒー)、ベトナム(コーヒー、カシューおよびコショウ)を中心とした、小規模農家に対して継続的に運転資金を提供する。また、同社の加工工場開設を支援することで、農業従事者、市場、そして顧客への流れが一体化し、現地市場の付加価値を高め、農業のバリューチェーン改善に寄与する。

このプロジェクトでは、約2万人の小規模コーヒー農家を対象とした能力開発研修のため、技術協力として300万ドルの支援も実施される。その一部は、アジアの民間部門向けカナダ気候基金からの供与される。この技術協力では、集水農業や土壌管理といった気候変動対応型農業の実施による生産性の向上や、森林破壊の回避を目指す研修も予定されている。

OILは、大手アグリビジネス企業で、66カ国のバリューチェーンを通し、18のプラットフォームにわたって世界2万2,000を超える顧客にさまざまな製品を提供している。

ADBは、2015年にアグリビジネス投資チームを民間部門業務局内に設置し、重点セクターの一つとして、持続可能な環境に優しい農業や農産加工流通の発展を支援している。

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