2019年9月10日(フィリピン・マニラ)- アジア開発銀行(ADB)は、2019年度版「アジア・太平洋地域主要指標」(Key Indicators for Asia and the Pacific 2019)報告書および、そのオンラインデータベース(Key Indicators Database)を発表しました。同報告書は、創刊から50号目となるもので、49の地域内加盟国の持続可能な開発目標(SDGs)に係る指標や、経済、金融、社会、環境に関する最新統計をまとめています。利用者は、オンラインデータベースを通じて、2000年以降の1,000を超える様々な統計指標へのアクセスが可能になります。
同報告書によれば、アジア・太平洋地域において極度の貧困状態にある人々は、2002年の11億人から、2015年には、2億6,400万人に減少しています。また、世界全体に占める同地域の国内総生産(GDP)の割合は三分の一に達しました。域内加盟国による商品生産に関するグローバル・バリュー・チェーンへの参加や、高付加価値商品の域内消費拡大により、グローバル市場において、同地域が果たす役割が増大しています。更に、同地域の収入源に占める輸出貿易の割合は、2000年の23.0%に対し、2018年には、30.2%の割合を占めるようになりました。
澤田康幸ADBチーフ・エコノミストは、「アジア・太平洋地域主要指標は、世界経済を牽引する同地域の力強い貢献や、SDGsに対する進行状況をモニタリングするための有用なツールである。また、これらの適切で信頼性の高い詳細なデータは、政策決定者がSDGsなどの開発目標の達成へ向け、政策の優先順位づけを行う上で重要な役割を果たす」と述べています。
また、同報告書の補足ツールには、キャピイ(CAPI:Computer Assisted Personal Interviewing)を活用した、調査・検証報告書が含まれています。ラオス人民民主共和国、スリランカ、ベトナムの3か国を対象に、タブレットやスマートフォンなどの端末を用いて、モニターに表示された質問文に対して、回答をキーボードで入力する手法などが検証されました。同手法を活用を通じて、データ精度の向上やエラー発生の低減が確認できたほか、大規模な調査ではより高い費用対効果が得られることが明らかとなりました。
同報告書には下記が含まれます。
- アジア・太平洋地域におけるSDG指標に対する進捗状況
- 図や解説を交えた、8つのテーマ(人、経済と生産高、通貨および金融と物価水準、グローバリゼーション、運輸と通信、エネルギーと電気、環境、行政とガバナンス)に跨る指標や同地域の動向
- グローバル・バリュー・チェーンに係る最新データ
- 49の域内加盟国の最新の国別統計
ADBは極度の貧困を撲滅する取組みを続けながら、インクルーシブ(包摂的)な社会経済発展、環境に調和した持続可能な成長および、地域協力・統合の促進を通じて、アジア・太平洋地域の発展に貢献しています。 ADBは1966年に創立され、現在の加盟国・地域はアジア・太平洋地域内の49カ国・地域を含めた、68カ国です。ADBは「貧困のないアジア・太平洋地域」の実現に向け、2018年度の融資及びグラントを通じたコミットメント総額は約216 億ドルに達しました。