【フィリピン・マニラ、2016年4月22日】アジア開発銀行(ADB)は『年次報告2015』を本日発表し、経済成長の鈍化、格差問題、そして大きな環境リスクに対処する術をアジア・太平洋地域の各国が模索する中、域内でのインフラや開発のための主要プロジェクトに対する資金需要は減る兆しを見せていないとした。

2016年はADBが業務を開始してから50年の節目の年に当たるところ、同報告によると、2015年の業務総額は271.7億ドルに急増し、過去最高額を記録した。内訳は、融資とグラントの承認額が162.9億ドル、技術協力の承認額が1.41億ドル、協調融資額が昨年比16%増の107.4億ドルであった。援助効果を向上させる重要な要素となる実行額も2015年は過去最高の122.2億ドルに達し、前年比22%増となった。

ADBの長期戦略において域内の経済成長を加速させるための重要分野と位置付けている民間部門業務は、2014年の19.2億ドルから2015年は26.3億ドルへと大幅に増加した。今年1月にADBは暫定的な業務実績を発表しているが、今回はそれを改訂するものである。

ADBの中尾武彦総裁は、同報告内の総裁メッセージの中で、「過去最高となった2015年の我々の実績は、アジア・太平洋地域におけるADBによる開発支援への増加する需要を反映したものだ」とした上で、「域内の経済成長は目覚ましいが貧困は依然なくなっておらず、インフラやその他の開発ニーズは非常に大きい」としている。

ADBの推定では、年間約8,000億ドルのインフラ投資が域内で必要である。これはGDPの約6%に達するが、現状では多くの国でこの比率が約2%から3%に留まっている。域内の経済成長と貧困削減を実現する上で、資金ギャップが大きな障害の1つになっている。

年次報告2015では、同地域がこれらの課題に対処し、2015年に国際社会が採択した意欲的な新しい開発アジェンダを実施することを支援するADBの対応に焦点を当てている。また同報告で、ADBは、2015年9月に署名された持続可能な開発目標への資金提供、2015年12月にCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で採択された気候変動対策に関するパリ協定への支援において中心的な役割を果たす決意であるとしている。

この決意を実行するため、ADBはアジア開発基金の譲許的融資のポートフォリオを通常資本財源のバランスシートに統合することにより、資金提供能力を飛躍的に拡大することを2015年に発表している。この先駆的な改革は2017年1月に開始され、ADBの自己資本をほぼ3倍に増加させ、ADBは開発途上加盟国への支援を最大50%、最も貧しい開発途上加盟国にへの支援は最大70%増やすことが可能となる。

昨年9月には、2020年までに気候関連支援額を年額60億ドルにまで倍増させると発表し、国際開発金融機関として初めて多額の気候関連支援目標額を設定した。海面上昇、氷河の融解、そして洪水や干ばつといった異常気象が人々の仕事や生命に益々影響を与えているアジア・太平洋地域において、気候変動問題への対処は極めて重要である。

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