スリランカ、コロンボ(2021年12月17日)—アジア開発銀行(ADB)は、スリランカのフードバリューチェーン強化および経済成長と雇用創出の促進のために、ジョン・キールズ・ホールディングス(John Keells Holding PLC: JKH)への最大8,000万ドル(スリランカ・ルピー相当額)の出資契約を締結した。
多角的な事業を営むJKHの投資計画の一環として、JKHの近代的な小売・流通インフラの拡大を支援するためのこの出資は、5,000万ドルの初期出資と3,000万ドルを上限とする12カ月以内の新株購入オプションの二段階の第三者割当増資から構成される。この資金は、ADBの通常資本財源(OCR)と、ADBが管理するアジアインフラパートナーシップ信託基金(LEAP)から等しく提供される。
クリストファー・ティームADB民間部門業務局(PSOD)次長は、「このプロジェクトは、優良コングロマリットの成長を支える重要な出資である」とした上で、「ADBによるこの出資は、スリランカの復興の取り組みの重要な段階において、大規模な海外直接投資を通じて必要とされる支援を提供し、投資家の同国に対する信頼を高めることにつながる」と述べた。
この出資は、新規のスーパーマーケットの建設や立ち上げ、そして最新設備を備えた物流センターの設置を含め、JKHグループの近代的な小売・流通事業の拡張を後押しする。さらにこの出資は、市場に作物を供給する農家のためのバリューチェーンの繋がりを強化し、食の安全と消費者の安心の推進を図る。
この出資に併せて、アジア民間セクターのためのカナダ気候基金(CFPS)により資金提供される技術協力が実施され、これにより、果物や野菜を栽培する2,000人の農家に対して、同国の農業にとって重要な優先事項として挙げられる、気候変動に対する強靭性の構築と有機農法に関する研修を実施する。
ADBのチェン・チェン・スリランカ事務所長は、「この取引は、スリランカとADBのパートナーシップの戦略的優先事項に完全に合致するもので、その戦略では農村地域における開発の重要性や民間セクター開発によってもたらされる効果に焦点が当てられている」と述べた。
JKHのクリシャン・バレンドラ会長は、「JKHは、この出資を通じてADBとパートナーシップを築けることを歓迎する。ADBの技術的専門知識や助言支援を活用して、我々の環境・社会・ガバナンスのプロセスや枠組みをさらに強化させる」とし、「ADBのような国際的に評価の高い金融機関との提携は、スリランカの復興に向けたこの重要な時期において、JKHとスリランカに対する信頼の証であると信じる」と述べた。
JKHはコロンボ証券取引所に上場する大手企業の一つであり、主に運輸・交通、家庭用食品、小売、レジャー、不動産、金融サービスなどの事業を展開している。
LEAPは、国際協力機構(JICA)が15億ドルを出資して2016年に設立した。ADBの開発途上加盟国における質の高い、持続可能な民間セクターのインフラ事業の実施を支援している。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。