インド、ニューデリー(2023年2月21日) ― アジア開発銀行(ADB)の浅川雅嗣総裁とインドのナレンドラ・モディ首相は本日会談し、同国の開発優先課題について議論した。浅川総裁は、迅速でインクルーシブ、かつグリーンな成長の実現に向けた同国の強い意志を後押しするために、ADBが今後5年間で200億ドルから250億ドルの資金を提供する意向を伝えた。

モディ首相と浅川総裁は、インドのインフラ整備や社会開発、気候変動対策におけるADBの支援、また同国の優先的な開発ニーズに対応するためのADBによる支援の拡大、さらに2023年から2027年にかけてのADBによる同国向け国別支援戦略(CPS)など、幅広く議論した。ADBは現在、ステークホルダーとの包括的な協議プロセスを経て、今後5年間をカバーする新たなCPSを策定しつつある。

浅川総裁は、「インドとADBは、長きにわたり価値あるパートナーシップを築いてきており、この地域における複雑な開発課題に取り組むために、この関係が一層強化されることを期待する」とした上で、「ADBは、モディ首相のガティ・シャクティ(マルチモーダル接続のための国家マスタープラン)政策の下で進められている重要なインフラ整備、未来都市の構築、国内資金動員、恵まれない地域における基本サービスの強化など、インドの主要優先課題に対して多面的な支援を行う」と述べた。

グリーン成長アジェンダは、ADBのインドにおけるプログラムを推進し、インドによる世界的な気候変動対応のコミットメント達成に向けた取り組みを後押しする。ADBは、炭素市場の発展や循環型経済への移行など、交通・運輸分野における脱炭素化とクリーンエネルギーへの移行を重点的に支援する。また、洪水管理、沿岸保護、水利用の効率改善、農業バリューチェーンの開発などの気候変動への適応策に係るプロジェクトが計画されている。 

浅川総裁は、インドのモディ首相に対し、同国の20カ国・地域(G20)議長国就任に祝意を表明するとともに、G20のアジェンダに対するADBの支持を改めて伝えた。G20会議および首脳会合の招待国際機関として、ADBは財務およびシェルパ・トラックを通じて、インド議長下での優先事項を支援している。

浅川総裁は、新型コロナウイルスのパンデミックへの効果的な対応に加え、パンデミックからの早期回復に向けた国の舵取り役を担うモディ首相のリーダーシップに対して賛辞を表すとともに、インドは、新型コロナにより引き起こされた混乱にも関わらず、2023年3月31日に年度末を迎える2022年度において7%の経済成長率が見込まれており、引き続き最も急速に成長している主要経済国であると述べた。

また、浅川総裁はニルマラ・シタラマン財務大臣と会談し、今後数年間でソブリン業務から年間40億ドルの通常融資を達成するためのADBの取り組みについて説明した。

ADBは1986年にインドで支援業務を開始した。2022年12月31日時点で、同国へのソブリン融資は522億8,000万ドル、ノンソブリン投融資は67億5,000万ドルとなっている。ADBの現在のインド向けポートフォリオは、交通運輸、都市開発、エネルギー、人材開発、農業と自然資源、金融の各セクターにわたる64件、総額約160億ドルのプロジェクトで構成されている。

浅川総裁はデリーにおいて、ADBが資金提供するデリー~メーラト間を結ぶ広域高速輸送システム投資プロジェクトを視察するほか、2月24日から25日にかけて開催されるG20財務大臣・中央銀行総裁会議に参加するため、ベンガルールを訪問する。 

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

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