フィリピン・マニラ(2020年9月10日)—アジア開発銀行(ADB)は、年次の地域統計報告の最新版である2020年度版「アジア・太平洋地域主要指標」(Key Indicators for Asia and the Pacific 2020)報告書を発表し、オンラインデータベース(Key Indicators Database)を更新した。

同報告書は、持続可能な開発目標(SDGs)に係る指標を含め、49の域内加盟国の2000~2019年の経済、金融、社会、環境に関する統計を包括的に提供している。また、同報告書の主要な統計は、アジア・太平洋地域がいかにして世界の国内総生産(GDP)に対して最も貢献するようになったかを示している。世界全体のGDPに占める同地域の割合は、2000年の26.3%から2019年には34.9%に達した。

澤田康幸ADBチーフ・エコノミストは、「アジア・太平洋地域は、過去20年間に目覚ましい発展を遂げ、世界全体のGDPに最も大きく貢献する地域になるとともに、何百万人もの人々を貧困から救い出した」とし、「タイムリーで正確なデータを用いることで、これまでのこうした発展について分析を深めると共に、今後さらなる改善が必要な分野について把握することができる。特に新型コロナウイルス感染拡大の状況下において、データへのアクセスを幅広く提供することで、よりインクルーシブで持続可能な開発に向けた同地域の発展に貢献し続ける」と述べた。

同報告書では、世界全体の投資や貿易におけるアジア・太平洋地域の影響力の拡大が浮き彫りになった。2019年に同地域経済に対して、世界全体の3分の1を上回る直接投資が行われ、その一方で、世界全体の輸出に占める同地域の割合は、2000年の28.4%から2019年には36.5%に達した。2019年のGDP成長率は、半数を超える域内国で4%以上を記録した。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックによりこうした成長が脅かされている。ロックダウンにより企業活動や人々の活動全般が著しく低下する中、失業は増加し、収入は減少している。

同報告書には、世帯調査と国勢調査を衛星画像から抽出したデータと統合することで、貧困推定値の精度をいかに向上させることができるかについて考察した特別付録が含まれている。報告では、貧困の空間的分布の把握を目的としたこの新たなアプローチについて、実用上考慮すべき点や技術的要件が明らかにされている。そしてそれとともに、従来の作業プログラムに革新的なデータソースを組み込むことの利点を十分に活用するために、国家統計局に必要とされる投資の概要が示されている。

同報告書ではまた次のような情報を提供している。

  • アジア・太平洋地域におけるSDGs指標に関する最新情報
  • 図や解説を交えた、8つのテーマ(人、経済と生産高、通貨・金融・物価水準、グローバリゼーション、運輸と通信、エネルギーと電気、環境、行政とガバナンス)に跨る指標や同地域の動向
  • 様々な製品の供給に関する、アジアの開発途上国の国際競争力の変化動向についての新たな分析およびグローバル・バリューチェーンに関する最新データ
  • 49の域内加盟国の最新の国別統計

2019年9月より提供されることとなったオンラインデータベースは、使い勝手が良く、利用しやすい形で2000年以降の1,100を超える統計指標へのアクセスを提供している。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

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