フィリピン、マニラ(2021年4月27日)―アジア・太平洋地域が新型コロナウイルスの感染拡大に迅速に対応し、パンデミックからの環境に優しく、持続可能な復興を支え、そして長期的な開発課題に取り組むことを支援するため、アジア開発銀行(ADB)の2020年のコミットメント額(契約締結額)は過去最高の316億ドルに達した。

本日発表されたADBの『年次報告2020』では、未曾有の困難に直面した一年を通じて、開発途上加盟国(DMCs)を支援したADBの2020年における業務および財務の実績について説明している。

浅川雅嗣ADB総裁は、「ADBの支援は、保健・医療制度を強化し、脆弱な人々を守るとともに、小規模事業を助け、そして復興への道筋を示した」とした上で、「今後我々は、この地域のコロナ禍からの回復を支援しつつ、開発途上加盟国による堅実かつ持続可能な形での復興を確かなものとしていく」と述べた。

2020年のADB自らの財源によるコミットメント額は、2019年の240億ドルを32%上回る316億ドルに達した。この金額には、政府と民間セクターに対する、短期貿易金融、サプライチェーンファイナンス、マイクロファイナンスなどを含む融資や保証、そして無償資金、出資、技術協力が含まれる。

2020年のコミットメント額のちょうど半分あまりとなる161億ドルがパンデミックの対応に向けられ、残りは、ジェンダー平等の促進、気候変動への取り組み、質の高いインフラへの投資など、開発途上加盟国による長期的な開発課題への取り組みを支援するために充てられた。

パンデミック対応のための161億ドルは、2020年4月に発表された200億ドルのパッケージを通じて、様々な形で提供されたが、中でも特筆すべきは、パンデミックに対応するために新たに設けられた「景気対策財政支援プログラムローン」による支援であり、これによって2020年末までに26カ国に対して迅速に財政支援を行った。161億ドルのうち29億ドルは民間セクター向けで、企業に対する直接支援や、貿易ネットワーク機能の維持を目的とした貿易金融やサプライチェーンファイナンスを通じた支援が含まれる。

また、ADBは2020年12月に、安全で効果的な新型コロナウィルスワクチンへのアクセスと公平かつ効率的な供給を支援するために、90億ドルのファシリティを立ち上げた。

ADBは、パンデミックにより生じたかつてないほどのニーズに開発途上加盟国が対応できるよう、個別の事情に合わせた迅速な支援を提供する一方で、ADBの長期戦略であるストラテジー2030の目標に引き続き重点を置き、その中核となる開発課題に取り組んだ。例えばADBは、ジェンダーの平等を促進する業務の割合を件数ベースで全体の75%以上にするというストラテジー2030の目標の達成に向けて、順調に進んでいる。

こうした過去最大のコミットメントを資金手当てするために、ADBは同じく過去最大の借入プログラムを実施し、現地通貨建て債券やグリーン、ジェンダー、ヘルス、ウォーターといったテーマ型債券を通じて358億ドルを調達した。また、ADBは、他の国際機関や民間金融機関から、過去最大の164億ドルの協調融資(うち108億ドルは新型コロナウイルス対応)を動員した。

正しい情報に基づく政策立案を支援するために、ADBは加盟国間での教訓の共有をすばやく促進し、分析作業を加速させた。ADBは、医薬品供給の障害を取り除くためのサプライチェーン・マッピング・ツールや、環境に優しい復興実現のための施策を含む、各種政策のインパクト評価と知見の蓄積を目的とした新型コロナウイルス政策データベースなどの大規模なナレッジリソースを立ち上げた。

『年次報告2020』では、業務や財務に関するデータ以外にも、ADBが2020年を通して開発途上加盟国を効果的に支援し、新たな業務環境に適応する支えとなった組織的背景についても説明している。『年次報告2020』はフルデジタル化されており、豊富なマルチメディア・コンテンツが、モバイル端末でも利用しやすいデジタル・フォーマットでアクセス可能である。www.adb.org/ar2020/digitallを参照。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

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