【フィリピン・マニラ、 2017年7月20日】アジア開発銀行(ADB)は、アジア途上国の2017年経済成長の見通しが、第一四半期に予想を上回る輸出需要に支えられたことで好転したと発表した。

「アジア経済見通し2017(Asian Development Outlook 2017、 2017年4月発表)」を補足する報告書の中で、ADBは、2017年と2018年のアジア地域の経済見通しを、それぞれ、5.7%から5.9%と5.7%から5.8%へ引き上げた。2018年の上昇率が小幅どまりなのは、輸出の影響力の持続性に対する慎重な見方からである。

ADBの澤田康幸チーフエコノミストは、「アジア途上国は、2017年、堅調な輸出により、年後半の成長が後押しされるようなよいスタートを切ることができた。世界的に景気回復力に対する不安が残る中、アジア地域の経済は、予測からの乖離を引き起こすような経済的影響を受け止められる体制にある」とした。

2017年と2018年の主要先進国の経済見通しは、ユーロ圏地域と日本において、国内の安定した需要によって改善が期待されるが、アメリカの成長見通しが、2017年第一四半期における経済の減速を受け、2.4%から2.2%へ下方修正されたことで、相殺される結果となり、1.9%を維持するとみられる。

一方、東アジアでは、成長見通しが上昇し、2017年が5.8%から6.0%へ、2018年が5.6%から5.7%にそれぞれ修正された。世界第二の経済大国である中華人民共和国では、経済成長の減速後、純輸出と国内消費が伸び、成長見通しも2017年は6.7%、2018年は6.4%となった。

南アジアはアジア太平洋地域において最も急速な成長を続ける地域であり、2017年は7.0%、2018年は7.2%と当初の見通しを維持するとみられる。南アジア最大の経済大国であるインドは、旺盛な消費を主因として、見通しどおり、2017年は7.4%、2018年は7.6%の成長を達成する見込みである。

東南アジアの成長見通しについては、ブルネイ経済の予期せぬ減速の影響が見られるものの、マレーシア、フィリピンおよびシンガポールの順調な経済成長により、2017年の4.8%、2018年の5.0%という当初の見通しは達成されるとみられる。 堅調な国内需要、とりわけ民間消費と投資が、東南アジア地域の成長を支えると期待される。

2017年の中央アジア諸国の経済見通しは、一部の国において、力強い国内需要と輸出が予想外に経済回復を後押ししたことで改善し、2017年は3.1%から3.2%へ、2018年は3.5%から3.8%へ、当初の予想を上回る成長が見込まれる。

太平洋諸国の成長見通しは、同地域最大の経済国であるパプアニューギニアにおいて、鉱業と農業に緩やかな回復が見られることで、当初どおり2017年は2.9%、2018年は3.3%を維持するとみられる。また、特にフィジーとパラオでは、観光産業の力強さが地域の成長をさらにけん引すると期待されている。

一方、アジア太平洋地域の消費者物価の上昇は、十分な供給と天候に恵まれ、需要が増加しているにも関わらず、国際原油価格と食料価格が安定したことで、当初の見通しの2017年3.0%、2018年3.2%は、それぞれ2.6%、3.0%に低下すると予測される。

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