ウズベキスタン・タシケント(2022年9月5日)-アジア開発銀行(ADB)とマスダール社(Abu Dhabi Future Energy Company PJSC - Masdar)の100%子会社であるShamol Zarafshan Energy Foreign Enterprise Limited Liability Company(SZE)は、中央アジア最大となるウズベキスタン初の風力発電所への5,200万ドルの融資契約に調印した。

この500メガワット(MW)の発電所は、ウズベキスタンのナヴォイ州タムディ地区、ザラフシャン市の東に位置する。この発電所の建設は、同国における、急増するエネルギー需要への対応、供給が不十分な都市部や農村部への安定的な電力供給、気候変動に対応する行動目標の達成、そして気候変動に対する強靭性向上に貢献する。この施設は、風力発電設備111基で構成され、それぞれ4.5MWの発電容量が見込まれる。

南アジア・中央アジア・西アジアをカバーするADB民間部門業務局インフラストラクチャー・ファイナンス担当課長のShantanu Chakrabortyは、「このザラフシャン風力発電プロジェクトは、化石燃料に大きく依存する国における経済の脱炭素化に、民間セクター投資がいかに貢献できるかを示すものである」とした上で、「2030年までに総発電量のクリーンエネルギー比率を25%超に引き上げるというウズベキスタンの努力を支援するとともに、企業や学校、病院や一般家庭に、信頼性が高く手頃な価格で電力を供給するためのウズベキスタン政府の取り組みを後押しする」と述べた。

本プロジェクトは、欧州復興開発銀行、アブダビ第一銀行、国際金融公社、国際協力機構、ナティクシスとの協調融資により実施される。この融資パッケージの一環として、ADBはオランダ開発銀行(FMO)からBローンとして1,000万ドルを確保した。また、ADBは、国営のオフテーカーである国家電力網公社 (Joint Stock Company National Electric Grid of Uzbekistan: NEGU)の信用リスクを軽減するため、1,950万ドルの政府保証付き一部信用保証に調印した。

多くの中央アジア諸国と同様にウズベキスタンは、その大部分を化石燃料に依存しており、電力のほとんどは天然ガスで賄われている。ザラフシャン風力発電プロジェクトは、年間1,599ギガワット時のクリーンエネルギーを発電し、89万トン以上にも及ぶ二酸化炭素排出量を削減する。SZEは25年間の売電契約に基づき、発電した電力をNEGUに供給する。

ADBウズベキスタン事務所のエンリコ・ピナリ所長代理は、「ウズベキスタンは、中央アジアで最も経済成長著しい国の一つとして今後もエネルギー需要の増加が見込まれており、より再生可能エネルギーを活用して、エネルギー源の多様化を進めることが極めて重要である」とした上で、「これは、ADBによる融資として過去最大規模の風力発電所であり、持続可能なグリーン経済への移行に向けた同国政府の取り組みを後押しできることを誇りに思う」と述べた。

SZEは、再生可能エネルギー分野の世界的リーダーであるアラブ首長国連邦のマスダール社が保有する特別目的事業体である。マスダール社は、発電や系統連系事業、遠隔地への小規模エネルギー供給事業、二酸化炭素排出削減事業などを世界的に展開している。マスダール社とADBは、これまでにパートナーとして幾度もこの地域における画期的な再生可能エネルギープロジェクトを実施している。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

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