フィリピン・マニラ(2021年5月27日)-アジア開発銀行(ADB)は、ベトナムのクアンチ省における、144メガワット(MW)の総発電容量が見込まれる48MWの陸上風力発電設備3基の建設、運営のために、Lien Lap Wind Power Joint Stock Company (リエンラップ)、 Phong Huy Wind Power Joint Stock Company(フォンフイ)および、Phong Nguyen Wind Power Joint Stock Company (フォングエン)との間で、1億1,600万ドルのグリーン・ローンを締結した。このプロジェクトは、ベトナムの風力発電容量を30%増加させ、急速に拡大するエネルギー需要への同国の対応を支援する。

リエンラップ、フォンフイ、およびフォングエンの各社は、第1送電線建設株式会社(Power Construction Joint Stock Company No.1:PCC1)と株式会社レノバが所有している。

この融資は、ADBが主幹事およびブックランナーとして組成し、資金動員を行った、1億7,300万ドルのグリーンローンのプロジェクト融資パッケージの一部を構成している。この案件は、ベトナムの風力発電事業を対象としたADBによる初めて融資であり、国際的な気候債券基準および認証スキームの運用を行う、気候債券イニシアティブによって認証された。このADBによる融資は、ADBが直接融資する3,500万ドルのAローンと、8,100万ドルのシンジケートBローンで構成される。

ADB民間部門業務局で東アジア、東南アジア、および太平洋地域をカバーする、ジャッキー・B・スルタニ・インフラストラクチャー・ファイナンス担当課長は、「リエンラップ、フォンフイ、およびフォングエンとの協働は、ベトナムの大規模な再生可能エネルギー事業におけるADBの豊富な経験をより一層深め、同国がクリーンエネルギーの未来への道筋を立てることを支援するADBのコミットメントを反映したものである」とした上で、「この画期的プロジェクトは、アジア・太平洋地域の風力発電事業開発への民間資金の効果的な動員が可能であることを示した」と述べた。

PCC1のチン・ヴァン・トゥアン(Trinh Van Tuan)取締役会長兼ゼネラル・ディレクターは、「この案件は、当社が初めて手掛ける風力発電事業であるとともに、国際金融機関や国際的な商業銀行のグループとの初めての取引である」とした上で、「ディール・ストラクチャリング、デュー・デリジェンス、ローン・シンジケーションにおけるADBのリーダーシップは、この取引を成功させるために極めて重要である」と述べた。

レノバの木南陽介代表取締役社長CEOは、「当社が初めて海外で行う再生可能エネルギープロジェクトにおいてPCC1と協力し、ベトナムの再生可能エネルギー分野を支援するためADBと協働することを喜ばしく思う」とした上で、「当社は、プロジェクトが国際的な環境・社会基準を満たす上で、ADBの参加と多大な支援に心より感謝したい」と述べた。

ADBは、地場では調達することができない長期の米ドル建てリミテッド・リコース・ファイナンスを商業銀行や他の開発金融機関から、Bローンとパラレルローンの組み合わせで動員した。パラレルローンには、国際協力機構(JICA)やオーストラリア輸出金融公社(Export Finance Australia)などが加わり、Bローンには、中国銀行(香港)有限公司、中国銀行マカオ支店、ソシエテジェネラル・シンガポール支店、トリオドス・グレンフォンズN.V.などが参画している。

このプロジェクトでは、平均422ギガワット時の電力を発電し、二酸化炭素排出量を年間平均162,430トン削減する。このプロジェクトの下でのジェンダー行動計画では、地元コミュニティの女性に、風力発電に係る運用と管理に関する研修を提供することとなっている。

PCC1は、送電網や変電所の建設に特化する形で、ベトナムの電力インフラ分野で60年近くの経験を有している。また同社は、ベトナム国内最大級の水力発電事業者であり、ホーチミン証券取引所に上場している。レノバは、日本に本社を置く再生可能エネルギー発電所の開発・運営企業で、太陽光、風力、バイオマス、地熱などの電源設備を手掛けている。2000年に設立され、東京証券取引所第一部に上場している。   

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

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