【フィリピン・マニラ、2017年1月27日】 アジア開発銀行(ADB)は、1月26日にインドネシア西部のムアララボ地熱発電プロジェクト向け1億900万ドルの融資パッケージに調印した。本プロジェクトに対するADBの融資は、昨年12月にADB理事会において承認されたもので、アジア太平洋地域における民間セクター主導のインフラ開発拡大およびクリーンエネルギー事業支援の一環である。
このプロジェクトは、ADBが新たに設立した「アジアインフラパートナーシップ信託基金(LEAP)」から初めて資金を受けて行う事業の一つとなる。同基金は、国際協力機構(JICA)による15億ドルの出資を受けて、ADB民間部門業務局により運営されている。ムアララボ・プロジェクトへの融資承認により、これまでのLEAP基金からの融資承認額累計は2億ドルを超える。
ADB民間部門業務局の宵有一朗上級投資専門官は、「本プロジェクトは、電気需要の増加に応え、かつ再生可能エネルギー開発を支援していくというインドネシア政府の意思を示すもの」としたうえで、「またこうした二つの課題への対応において、民間セクターが重要な一翼を担えるという証しともなる」とした。
プロジェクト完成後は、西スマトラ地域に80メガワットの電力が供給される。インドネシアは世界の地熱資源量のおよそ40%を占めており、二酸化炭素排出量を2030年までに29%削減するというインドネシア政府の目標達成において地熱活用は重要な鍵となる。
本融資は、7,000万ドルのADB独自の資金及びLEAP基金からの資金に加え、クリーンテクノロジー基金(CTF)からの1,900万ドルの拠出からなる。CTFとは、低炭素化技術の実証、普及および移転を目的として中所得国に譲許的資金を提供する基金で、気候投資基金を構成する四つのプログラムのうちの一つである。
このプロジェクトは、複数の地熱発電事業ディベロッパーと金融機関とが協力していく事業となる。プロジェクトの実施会社であるスプリーム・エナジー・ムアララボは、インドネシアの地熱発電ディベロッパーであるスプリーム・エナジー、日本の総合商社である住友商事、そしてフランスの多国籍エネルギー企業エンジ―の三者が設立した共同事業体である。金融機関としては、ADBの他に、日本の国際協力銀行と、日本貿易保険による保険付で民間銀行グループが融資に参加している。