フィリピン、マニラ(2020年4月13日)-アジア開発銀行(ADB)は本日、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックへの支援について、これまでの3倍の200億ドルに拡大するとともに、支援のより迅速かつ柔軟な提供を目的とする業務の合理化措置を承認した。
このパッケージは、3月18日に発表された65億ドルのADBの初期対応を拡大するもので、ADBの開発途上加盟国が新型コロナウイルス感染症の拡大によるマクロ経済と健康への深刻な影響に対応するために、135億ドルの追加資金を提供するものである。またこの200億ドルのパッケージには、約25億ドルの譲許的資金および無償資金が含まれる。
浅川雅嗣ADB総裁は、「このパンデミックは、アジア・太平洋地域の経済的、社会的、そして開発や貧困削減に係る成果を大きく後退させ、経済を不況に落とし入れる恐れがある」とした上で、「ADB理事会の強力な支持を得て可能となったこの支援拡大により、開発途上加盟国政府や民間セクターに対して、より迅速かつ柔軟に、そして強力で包括的な支援が提供され、パンデミックや景気後退という差し迫った課題への取り組みを支えていく」と述べた。
4月3日に発表されたADBの最新の分析によると、新型コロナウイルスのパンデミックによる世界の国内総生産(GDP)への影響は、2.3-4.8%に相当するとされ、アジア・太平洋地域の2020年の経済成長率は、5.2%だった2019年から減速し、2.2%にとどまると見込まれている。
新しいパッケージには、ADBの景気循環対策支援ファシリティの下での、新型コロナウイルスのパンデミックに対応するための新たなオプションの設置が含まれる。この新たなオプションを通じて、開発途上加盟国政府による、特に貧しく脆弱な人々に目を向けた、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を緩和するための効果的な景気対策財政支出プログラムの実施支援に、最大130億ドルが提供される。無償資金は、より広範な調達先から医療・個人用防護具や物資が供給されるよう、引き続き迅速に提供される。
この200億ドルの支援パッケージのうち約20億ドルは、民間セクター向け支援に充てられる。そのうち、融資や保証は貿易やサプライチェーンの回復のために金融機関に提供される。強化されたマイクロファイナンス向け融資や保証支援、そして女性によって経営されている企業を含む中小企業の流動性不足を助ける支援に並行して、新型コロナウイルスの感染拡大に対応している、あるいは影響は受けている企業への直接的な資金の提供も行われる。
支援パッケージには、ADBの政策や業務手続きの変更も含まれ、それにより今回の危機に対してより迅速で柔軟な対応が可能となる。これには、内部の業務手続きの簡略化や様々な支援手段の対象拡大、より個々の状況に則した融資条件の設定などの方策が含まれる。
この拡大支援パッケージによるすべての支援は、国際通貨基金(IMF)や世界銀行グループ、世界保健機関(WHO)、ユニセフ等の国際機関、そして幅広く国際社会との緊密な協力により提供される。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。