フィリピン、マニラ(2020年1月31日)-アジア開発銀行(ADB)は本日、ADBベンチャーズの設立を承認した。この新たなベンチャー・プラットフォームは、インパクトの高い技術を活用したソリューションの提供を通じて、アジア・太平洋地域における持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献するスタートアップ企業に対して支援と投資を行う。
マイケル・バローADB民間部門業務局長は、「アジア・太平洋地域には、省エネルギーや廃棄物の削減、気候変動への対応、そして公共サービスの効果的な提供を実現するための技術を活用したソリューションが数多くある」とした上で、「ADBベンチャーズは、広範にわたるADBの業務ネットワークを活用するとともに、アジア・太平洋地域の開発途上国、特に小規模で未開拓の市場において、成長の初期段階にある革新的な企業が直面するリスク資本の不足を補うことで、こうしたソリューションを提供する」と述べた。
ADBベンチャーズ・インベストメント・ファンド1は、このファシリティの要となる信託基金であり、5,000万ドルの資金規模を目標として、二国間および多国間の開発パートナーを含む複数の資金源からの拠出を受け入れる。主に、初期段階にあるスタートアップ企業に対して投資を行い、気候変動への対応や女性のエンパワーメントの促進に資するソリューションを提供する企業を対象とする。同基金は、管理運用期間を17年と設定しており、クリーンテックやフィンテック、農業や保健医療などに係る技術を活用したソリューションに対してADBによる長期投資を可能とする。
ノルディック開発基金(NDF)、気候投資基金(CIF)およびオーストラリア政府が、このベンチャー・ファシリティ組成のための準備を支援した。ADBベンチャーズ・インベストメント・ファンド1は、2020年第2四半期に運用の開始を予定している。同ファシリティの主な目的の一つとして、民間セクターの投資家との共同投資を通じて民間資本を動員することが挙げられる。
「我々のビジョンは、ADBベンチャーズが、2030年までのSDGs実現に向けて10億ドルを上回るリスク資本への投資を促進し、インパクトの高いテクノロジーを提供するこの地域最大のプラットフォームとなることである」とバロー氏は述べた。
従来のベンチャーキャピタルファンドとは異なり、ADBベンチャーズ・インベストメント・ファンド1は、3年間で1,200万ドル規模の技術協力を支援するプログラムにより補強されており、主に二つの取組みを通じ、インパクトの高い技術を提供するスタートアップ企業を支援する。一つ目はADBベンチャーズ・シードというグラント(無償資金協力)プログラムであり、テクノロジーに係るパイロット実施の検証やリスク低減を図るとともに、ともすると優先されることのないスタートアップ企業による新興国市場への展開を促進する。二つ目は、ADBベンチャー・ラボというスタートアップ企業向けの一連のイノベーションプログラムであり、産業界と主要なアクセラレーターとの協力により実施される。ADBベンチャーズは、ADBの業務ネットワークと業界に関する専門知識を活用し、テクノロジーを活用したパイロットの事業機会を創出し、ADBベンチャーズ・インベストメント・ファンド1による投資先企業を支援する。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。