フィリピン、マニラ(2021年11月15日) — アジア開発銀行(ADB)は、本日、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で表明された、開発途上加盟国による拡大されたコミットメントについて、気候変動との世界的な戦いにおける対応を強化するために希望の持てる進展であるとして歓迎した。
各国はグラスゴーにおいて、世界全体の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2°Cより十分低く保つとともに、1.5°Cに抑える努力を追求することを示した、パリ協定の重要事項である、国が決定する貢献(NDC)を果たすための一連のコミットメントに合意した。
浅川雅嗣ADB総裁は、「COP26では、気候変動に対してより強力な行動を取るために世界、そしてアジア・太平洋を一つに結びつける上でいくつかの希望の持てる進展が見られた。我々の時代の重大な課題を解決しようとするための連帯した決意や意志をCOP 26で目の当たりにして、私自身、大変勇気づけられた」とした上で、「同時に、細部に亘る交渉や成果文書で明らかなように、このチャレンジに対して、さらなる資金やイノベーション、コラボレーションなど、より多くのことを、迅速に行う必要がある。ADBはアジア・太平洋地域の『気候バンク』として、気候変動との戦いで確実に勝利を収めるために、加盟国や他のパートナーとの協力に重点を置いている」と述べた。
ADBは、COP 26において、気候変動に対して変革的な行動を取ることを目的とした一連のハイレベルでの対策やパートナーシップを発表した。
- インドネシアおよびフィリピンとのエネルギー・ トランジション・メカニズム・東南アジア・パートナーシップの創設。官民資金を活用して石炭火力発電所の廃止を加速し、それに替わるクリーンで再生可能なエネルギーへの投資を促すことを目的とする。
- 東南アジア諸国において、新型コロナウイルスのパンデミックからの環境に配慮された、強靭でインクルーシブな回復の実現を支援する、6億6,500万ドルのアセアン・グリーンリカバリー・プラットフォームの設立。
- 地方のコミュニティ、特に女性と少女を対象とした気候変動に対する強靭性向上のためのコミュニティ・レジリエンス・パートナーシップ・プラットフォーム。
- 都市部における気候変動に対する強靭性向上の構築に焦点を当てたアーバン・レジリエンス信託基金。
- アジア・太平洋地域におけるカーボンクレジットと低炭素化に向けた資金を創出する気候変動対策・カタリスト・ファンド。
ADBは他の主要な国際開発金融機関とともに、各々の業務において、自然環境を重視した取り組みを主流化するとともに、気候変動対策の目標をより野心的なものにし、地域社会や産業、労働者が(炭素排出量)ネットゼロの経済への移行から守られる、「公正な移行」を重視することを約束する共同声明に署名した。
10月にADBは、2019年から2030年までに開発途上加盟国に対して提供する気候変動ファイナンスに係る目標を1,000億ドルに引き上げることにより、気候変動対策を継続的に進めるための礎を築いた。また、石炭事業への新規の投融資を除外し、信頼性が高く手頃な価格のエネルギーサービスへの普遍的なアクセス実現の支援にコミットする新たなエネルギー政策を採択した。更にADBは、その業務においてパリ協定の目標と整合性を確保し、2030年までに年間融資契約締結件数の少なくとも75%を、気候変動対策へ当てることを約束した。
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。