フィリピン、マニラ(2020年5月18日)- アジア開発銀行(ADB)によるアジア・太平洋地域の開発途上加盟国に対するプロジェクトやプログラム、その他の開発支援は、2019年に337億4,000万ドルに達した。これは、ADBのビジョンである、豊かでインクルーシブ、災害などのショックに対しても強靭で、持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向けたADBの強い意思を示している。

2019年は、年間を通じてADBの長期戦略「ストラテジー2030」の実施に取り組んだ最初の年であったが、本日発表された『年次報告2019』は、ADBの2019年の業務内容および財務実績の詳細を提供している。

浅川雅嗣ADB総裁は、「2019年の活動内容に励まされた。また、2020年に我々がすでに達成してきたことに勇気づけられている」とした上で、「我々は、これらの実績を基に、ADBの開発途上加盟国が新型コロナウイルスのパンデミックとの闘いに挑み、これを克服していくにあたり、各国のニーズに的確に応え続けることができるように努めていきたい」と述べた。

新型コロナウイルス対策のために、今年4月13日にADBは200億ドルのパッケージを承認し、感染拡大の影響に対処する開発途上加盟国を助けるために、幅広い活動やプログラムに資金を提供している。

2019年のADB自身の財源による新たなコミットメント額は、融資、グラント(無償資金)、投資、保証などの合計で216億4,000万ドルにおよぶ。円滑な案件実施の重要な指標となる融資等の実行額は、2019年に164億7,000万ドルに達し、2018年の実績から16.1%増加した。

2019年のADBの民間部門業務は、これまで投融資を行っていなかった新たなセクターや未開拓の市場に民間部門向け投融資が拡大したことを反映し、2年続けて30億ドルに達した。

2019年のADBの協調融資の総額は118億6,000万ドルとなったが、このうち民間部門業務における協調融資額は69億8,000万ドルであった。

ADBの気候変動対策向け投融資額は、2019年にこれまでで最高の65億5,000万ドルに達した。ADBは、年間の気候変動対策向け投融資について、2014年の30億ドルから2020年までに倍増させるという目標を設定していたが、これを1年前倒しで達成したことになる。このことは、気候変動対策に関するADBの力強い決意を示している。ストラテジー2030では、2019年から2024年までの間に総計350億ドル、2030年までの間に総計800億ドルを気候変動対策に充てるという目標を掲げている。

ADBはまた、2030年までに全プロジェクトの少なくとも75%においてジェンダー平等推進対策を含めるというストラテジー2030の目標に着実に近づいている。

ADBの年次報告は、豊富なマルチメディアのコンテンツを含めデジタル形式で提供するようになって2年目をむかえ、今年は環境にも配慮して、完全にオンラインでの提供に移行した。(www.adb.org/ar2019/digital参照)。

ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。

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