フィリピン・マニラ (2018年5月3日) — アジア開発銀行(ADB)の民間部門業務局(PSOD: Private Sector Operations Department)がまとめた「開発効果報告書2017」によれば、昨年のADBの民間部門業務は23億ドルに達し、同業務のポートフォリオは全体として17%増の109億ドルになった。

2017年に新たに契約された民間部門業務は27件で、調印された通常資本財源融資全体の13.4%を占めた。昨年の契約のうち、59億ドルは協調融資によって補完されたもので、これはADBが得た協調融資全体の50%に当たる。この報告書は、フィリピンのマニラで開催されたADBの第51回年次総会で発表された。

ADBの民間部門・協調融資担当のディワーカル・グプタ副総裁は、「ADBは、民間セクターとの提携に着実に取り組み、各国におけるインフラの改善や金融へのアクセスの拡大、そして気候変動に関するパリ協定と持続可能な開発目標の達成を支援している。民間部門業務局は、新たな市場の開拓や、開発効果を促進する高度技術への支援拡大を含め、2020年までにADB全体に占める民間部門業務での契約額を13.4%から20%に増やす取り組みを継続していく」と述べた。

2017年に調印に至ったADBの民間部門案件により、アジア・太平洋地域において、新たに1万7,000の雇用が生み出され、4億9,200万ドル以上の政府歳入と、現地企業から22億ドルの商品・サービスの調達が期待される。さらに、年7億5,000万立方メートルの下水処理や87万戸の電力需要をまかなえる約7,755ギガワット・時の発電など、インフラへのアクセスやサービスの向上が見込まれている。

同年の金融サービスにおけるインクルージョン向上のための民間部門業務により、アジア・太平洋地域の1,180万以上の個人や中小企業による金融へのアクセスが改善し、そのうち、90%が女性、あるいは女性が所有する企業となる見通しだ。昨年のアグリビジネス関連のプロジェクトは、2,800以上の農家を支援し、金融サービスの改善によって40万を超える農業従事者・農村家庭に寄与する。

積極的な民間部門業務は、13万3,850人の雇用の創出と、主に金融リテラシー(金融に関する知識や判断力)を中心とする30万8,000人に対する研修など、既にアジア・太平洋地域の経済に貢献している。また、ADBの民間部門の取引先は、年間410万トンの炭素排出削減を達成している。

この報告書に出てくる数値は、ADBの新たな成果指標、つまり所定の年度において調印された融資、グラント、および投資額に基づく。この指標は、2017年に導入されたもので、いつADBの理事会により承認されたかよりも、いつプロジェクトが調印されたかを重視することで、承認段階でのプロジェクトの準備状況の促進、承認後の手続きの迅速化、そして支払い実行を早めるものである。

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