fbpx 低炭素成長への移行は、アジアに 安定した利益をもたらす-ADB | Asian Development Bank

低炭素成長への移行は、アジアに 安定した利益をもたらす-ADB

ニュースリリース | 2016年9月27日

【中国・香港、2016年9月27日】アジア開発銀行(ADB)はその重要な年次経済刊行物である『アジア経済見通し2016年』(Asian Development Outlook (ADO) 2016)の改訂版(ADO Update (ADOU) 2016)を本日公表し、アジア途上国は低炭素成長への移行により、必要なコストをはるかに上回るものを得られるとした。

2015年のパリ気候変動会議で、地球の気温上昇を2°C未満に抑えることが合意されたが、アジア途上国は、このために、クリーンエネルギーのインフラに対してだけでも毎年3,000億ドルの追加支出(純額)を2050年まで続けなければならない。これは、ADOU 2016の特別テーマの章「低炭素成長実現に向けた課題の克服」において示されている。

ADBのズジョン・チュアン(Juzhong Zhuang)副チーフ・エコノミストは、「これは膨大な額ではあるが、増大する気候変動による破壊的な影響を緩和するための低炭素政策を講じることによる経済的利益は、そのコストを大きく上回る」とした上で、「ADBの試算では、政策が正しく講じられれば、パリ協定の目標達成にかかる費用1ドルに対して2ドルの利益をアジア途上国にもたらすことができる」としている。

アジア途上国は、気候変動抑制のための地球規模の取り組みに参加している。同地域のおよそ90%の国が、パリ協定の下で温室効果ガスの排出を削減するとしている。一方、もし行動が起こされなければ、悲惨な結果を招くだろう。報告書は、気候変動を抑制できなければ、同地域のGDPは2100年までに10%以上減少すると見ており、苦労して手に入れた社会経済上の利益が食い潰されてしまうとしている。

気候変動を抑制すれば、そのようなGDPの減少を回避できるだけではなく、他にも多くの恩恵がもたらされる。報告書によると、地球温暖化を2°C未満に抑えれば、大気汚染の改善につながり、何もしない場合に比べ、同地域での早期死亡者を年間60万人近く減少させることができる。さらに、4,500万ヘクタール以上の森林も保全される。

アジアは世界で最も急速に二酸化炭素の排出が増加している地域であり、その低炭素成長への取り組みは、世界にとってパリ協定の温度目標を達成するために不可欠である。そして、域内での取り組みが成功するためには、現在、アジアの全排出量の3分の2以上が化石燃料によるものであることから、エネルギー利用の大転換が不可欠である。報告書では、2050年までのこの地域の排出削減は、半分を低炭素エネルギーの生産により、3分の1を省エネ対策により、残りを森林伐採、土地の劣化その他の非エネルギー起源の排出の抑制により達成できるとしている。

アジア途上国が低炭素成長へと移行していくためには、再生可能エネルギー、スマートグリッド、省エネ対策、および二酸化炭素の回収・貯留技術のすべてにわたって新たな投資を大幅に増大しなければならない。化石燃料に対する高額な補助金を廃止することで、財源をクリーンエネルギーへの投資に回すことができる。

アジア途上国では、緩和費用が世界の他の地域より低いことから、炭素排出権取引市場の発展により恩恵を得ることができる。報告書によると、そのような炭素市場を利用することで、同地域の緩和費用は、各国が独自に取り組むだけの場合より50%削減可能で、さらに、排出削減に向けた意欲的な取り組みを10年繰り上げて実施すれば、費用対効果は30%以上増加し、長期コストは25%以上削減できるとしている。