アジア諸国の繁栄に製造業は不可欠

News Release | 2013年8月21日

【シンガポール、2013年8月21日】アジア開発銀行(ADB)は、本日発表した「キー・インディケーターズ(主要指標集) 2013年版」(Key Indicators for Asia and the Pacific 2013)の中で、アジア各国が繁栄を目指し、中所得国の罠を回避する上で、工業化が成長の根幹をなすとの見方を示した1 。

ADBの李(イ) 昌(チャン)鏞(ヨン)(Changyong Rhee)チーフ・エコノミストは、「過去の例に照らして、製造業が国全体の産出量と雇用に占める割合が最低18%以上の状態が一定期間続かなければ、高所得国への移行は難しい」とした上で、「サービス業が一種のブームとなっている今、工業を避けて通りたくなるかもしれないが、経済繁栄を遂げようとするなら、それは大きな過ちだ」と述べている。

報告書によると、アジアでは、日本や韓国、台湾、香港、シンガポールから成るグループが、急速な工業化によって高所得国に転じたが、別のグループである中国、マレーシア、タイにおいては転換スピードは緩慢である。

バングラディシュ、インド、パキスタン、フィリピンといった国では変化はさらに遅く、製造業での雇用創出が少ないまま、農業国からサービス業の国へとシフトしつつある。

現在のアジアは、工業主導で発展しているわけでは必ずしもない。アジア途上国のアウトプットで最大シェアを占めているのはサービス業であり、雇用面では、域内7億人が従事する農業が最大の雇用創出産業になっている。

多様な産業発展を遂げているアジアの各国にとって、産業転換政策における優先課題は異なる。途上国、とりわけ低所得国にとっては農業の近代化がカギである。

労働集約型産業に過剰依存、あるいは工業化が十分に進んでいない中所得国は、工業の質的底上げが重要だ。こうした国では、産業を多様化し、経路に依存しない形(=製造業などの発展過程において、既に強みを持つ製品と似た製品群に徐々に移行するのではなく、近似性・関連性は低いが高度な工業製品・分野に迅速に移行すること)で産業構造の転換を進めるために、質の高い教育が不可欠である。

経済規模の小さい島嶼国の場合は、工業化はコストが高くつくこともあるため、ニッチなサービス産業での競争力向上が今後を決定付ける。

報告書は後段で、達成期限である2015年まで残り2年を切ったミレニアム開発目標(MDG)の域内での進捗状況を掲載、大半の国において貧困削減で大きな進展があったほか、基礎教育へのアクセスが改善、男女格差の是正が進んだと分析している。このほか関連レポート2 では、90年代から2000年代にかけ大半のアジア途上国で、インクルーシブな成長へのシフトが多くの指標でプラス効果をもたらしたと論じている。

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1報告書のフルレポート(A4、計約350頁)は、http://www.adb.org/publications/key-indicators-asia-and-pacific-2013、要旨(ハイライト、計23頁)はhttp://www.adb.org/sites/default/files/pub/2013/ki2013-highlights.pdfよりそれぞれダウンロード可。

2スペシャル・サプルメント(A Framework of Inclusive Growth Indicators)は、http://www.adb.org/publications/framework-inclusive-growth-indicators-20...参照。


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