アジア開発銀行(ADB)は3日、9月に発表した『アジア経済見通し2015年改訂版』(2015 Asian Development Outlook Update)の追補版を発表した。それによると、アジア途上国(日・豪・NZを除くアジア・太平洋の45カ国・地域)の経済は、軟調が続く先進国経済に対して引き続き底堅く、2015年は5.8%成長、2016年は6.0%成長に向け順調に進んでいる。

同追補版において、ADBはアジア途上国の成長率予測を据え置いた。中国の成長率予測は若干上方修正されたが、中央アジア及び太平洋諸国の下方修正により相殺された。主要先進国経済の成長率見通しも下方修正された。

ADBのシャンジン・ウェイ(Shang-Jin Wei)チーフ・エコノミストは、「多くの国で経済が若干軟調となっているが、アジア途上国全体の成長見通しは引き続き堅調である」とした上で、「アジア途上国の成長は、中国の活発な民間消費、及びインドやその他諸国の鉱工業生産の拡大に下支えされている。同時に、一次産品輸出国が世界的な商品価格の下落に苦しみ、米国の景気回復が予測よりも遅れ、日本経済が収縮していることが、輸出見通しにとって重しとなるだろう」としている。

東アジアの2015年及び2016年の成長見通しは6.0%に据え置かれた。中国の2015年の成長率は6.9%で、前回予測の6.8%を若干上回る。住宅供給及び工業生産能力の過剰が続いているにもかかわらず、中国経済は底堅く、民間消費及びサービスが主に下支え役となっている。また、中央銀行及び政府による経済安定化措置と中小企業支援措置がある程度効果を発揮し、消費及びサービスの一段の成長に支えられ、中国の2016年の成長率は6.7%になると予測される。

南アジアの見通しは引き続き好調で、2015年は6.9%、2016年は7.3%との前回予測通り順調に進んでいる。インドは引き続き、鉱工業生産、公的資本支出、及び小売販売の伸びに下支えされ好調である。これにより、ブータン、モルディブ、及びネパールの成長減速が相殺されている。

また、東南アジアの成長見通しについては、2015年は4.4%、2016年は4.9%と、9月に発表された改訂版の予測が据え置かれた。東南アジア最大の経済国インドネシアは、歳出が予測を下回り、輸出の低迷が続いているため、成長が若干減速する予測である。

中央アジアの成長見通しは、2015年は3.3%から3.2%に、2016年は4.2%から3.7%に下方修正された。原油及び天然ガスを中心に一次産品価格の下落が続き、ロシアの景気回復の遅れが引き続き経済の足かせとなっていることが、その要因として挙げられる。アルメニア、ジョージア、キルギス、タジキスタン、及びウズベキスタンなどのエネルギー輸入国は、特にロシアからの海外送金の減少を受け、国内消費が落ち込んでいる。

太平洋諸国の経済も、9月に発表された改訂版の予測を下回る成長率となっている。東ティモールでは、複数の大型投資プロジェクトの遅れが成長見通しの足かせとなった。パプアニューギニアでは、一次産品価格の下落が歳入の減少をもたらし、政府の公的支出計画に影響を与えている。現在、太平洋諸国の2015年の成長率は9月に発表された改訂版の6.7%から6.3%に、2016年は3.9%から3.8%に下方修正された。

【本リリースの英原文はこちら】

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