マニラ (2018年12月12日) アジア開発銀行(ADB)は、「アジア経済見通し2018 (Asian Development Outlook 2018)」の改訂版を補足する新たな報告書の中で、アジア・太平洋地域の開発途上国の経済は、安定した内需により外的影響に耐え、インフレ圧力は弱まりつつあると発表した。

ADBは、今回の報告書の中で、アジア・太平洋地域の2018年と2019年の成長率は、前回見通しと変らずそれぞれ6.0%、5.8%とし、また、香港、韓国、シンガポール、台湾などの新興工業国を除いた見通しも、前回同様、それぞれ6.5%と6.3%であるとした。

国際商品価格の下落と中央銀行による市場の安定化に向けた取り組みにより、2018年と2019年のアジア開発途上国のインフレ率は前回予測の2.8%より下がり、それぞれ2.6%と2.7%の見通し。

澤田康幸ADBチーフエコノミストは、「米中間で、関税問題に一時的な休止策が講じられたことで安堵感が広がったが、問題の解決に至っていないことは、アジア・太平洋地域の経済予測において引き続き下方リスクとなっている。しかし、一部の経済大国で堅調な成長が続いていることから、今年の経済見通しに変更はない」と述べた。

世界第二の経済大国である中国は、2018年、引き続き6.6%の成長が見込まれているが、2019年は緩やかになり6.3%の見通しである。インドでは輸出の回復と堅調な工業・農業生産により、目覚しい成長が継続し、2018年は7.3%、2019年は7.6%の成長率が見込まれている。

2019年の中央アジアの国内総生産(GDP)成長見通しは、9月の予測の4.2%から上昇し、4.3%となった。これは、公共投資の回復と、アゼルバイジャンにあるShah Denizガス田での生産量増加の見込みによるもの。南アジアの2019年の成長見通しは、9月の予測の7.2%から下方修正され、7.1%となった。東南アジアでも、前回の予測の5.2%から下方修正され、5.1%となった。太平洋地域については前回見通しと変らず、2019年は3.1%の成長が見込まれる。

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