世界の経済成長が減速する中、 東アジア新興国の債券利回りが低下 | Asian Development Bank

世界の経済成長が減速する中、 東アジア新興国の債券利回りが低下

ニュースリリース | 2016年3月17日

【フィリピン・マニラ、2016年3月17日】アジア開発銀行(ADB)が発表した「アジア債券モニター(Asia Bond Monitor)」の最新版によると、2016年最初の1カ月半は、世界経済の成長見通しへの危惧と先進工業国の景気低迷を受け、ほぼすべての東アジア新興国市場で現地通貨建て債券の利回りが引き続き下降局面にある。

ADBのシャンジン・ウェイ(Shang-Jin Wei)チーフ・エコノミストは、「利回りの低下は、過剰な流動性と先進国を含む世界経済に関する弱含みのニュースを反映している」としたうえで、「国際資本の新興市場国への逆流も見られるため、これらの国々における過度の借入れによるリスクに注意することが重要である」とした。

同報告書によると、米国、日本、ユーロ圏を含む主要先進工業国の中央銀行の昨今の動きは、投資家に対し、当面は低成長が続きそうであることを示している。しかしながら、米国金利の緩やかかつ注意深い引上げは、米国金融政策の正常化を織り込んでいる市場と相まって、地域のリスクが上昇しているものの、東アジアの債券の急激な売りに歯止めをかける。

年初の1カ月半、中国と香港を除くほぼすべての東アジア新興国市場で、注目度が高い10年債を含めて大半の現地通貨建て債券の利回りが低下した。同期間、クレジット・デフォルト・スワップも、世界経済への不安を反映し、東アジアの債券に対するリスク・プレミアムの上昇も相まって、不安定なまま推移した。債券利回りの低下は、インドネシアとタイを除く東アジア地域のほぼすべての株式市場の株価下落と軌を一にした。

東アジア新興国における現地通貨建て債券の発行残高は、前四半期比ベースで5%増加し、前年比ベースではほぼ18%増加した結果、12月末時点で9兆1,000億ドルを超えた。中国が債券発行残高合計の3分の2以上を占め、群を抜いて最大の市場となっている。昨年最終四半期の1兆ドルを超える新規発行により、債券発行残高がこの地域のGDP(国内総生産)に占める割合は、2015年第3四半期の約62%から第4四半期には64%近くにまで上昇した。

この地域の外国為替市場は、2016年最初の1カ月半はまちまちで、対米ドルで韓国ウォンが3%、フィリピン・ペソが1.2%下降した。対照的に、インドネシア・ルピーとマレーシア・リンギットは、対米ドルでそれぞれ3.3%、3.8%昇した。他の通貨は、ほぼ安定していた。

同報告書はさらに、東アジア債券市場にとってのリスクは多岐にわたり、域内の債券市場からの資本流出を招くことになる米国政策金利の引き上げ、ドル建て借入れを行っているアジア企業に資金調達の課題をもたらす米ドル相場の更なる高騰、そして世界の経済活動が停滞する中で新興国市場に対する外国投資家からの信頼の広範な喪失が含まれる、と指摘している。